国立近代美術館に行ったついでに国立公文書館へ。
令和6年夏の特別展「お札に描かれた人物―公文書で見る紙幣の歴史―」が開催中。
(~9月16日(月・祝))
真っ先に目に留まったのが、日銀の貨幣博物館でもクローズアップされているこの人。
国内新紙幣の肖像画を制作したキヨッソーネ。
以前のブログ「日本紙幣初の肖像画を制作したイタリア人」でも触れたとおり、
世に知られる西郷隆盛の肖像画を手掛けた人でもあります。
キヨッソーネ作の紙幣といえば、描かれた神功皇后の肖像画が西洋人的すぎる、
とよく言われます。
こちら↓
同じ神功皇后の肖像画入りの1円札が明治14年、5円札が明治15年、
10円札が明治16年に発行されました。
デザインも銅版制作もすべてキヨッソーネが行っています。
ただ、厳密には、あくまでこれは”大蔵省の紙幣寮発行”の最初の紙幣。
これより先、明治10年から11年にかけて、”民間の国立銀行”
(ちょっとややこしいけどあくまで民間。現みずほ銀行)が
新紙幣を発行しています。
それがこちら。明治10年発行の1円札。
表に水兵さん、裏に恵比寿様。
デザインはキヨッソーネですが、銅板の方は、かのラグーサが行ったとのこと。
その後恵比寿様も何パターンか出て、そろばん勘定の恵比寿様あり(すぐ下の図)、
米俵のそばにねずみを配置したものあり(その次の図)
時代は飛んで戦後。
どかーんと靖国神社があしらわれた紙幣にGHQからクレームが出て、
板垣退助像に変更。
裏には国会議事堂。
(レアな靖国神社の紙幣はこちらのサイトなどで見られます=>Jump)
こうして昭和23年発行の50銭紙幣には、壮年期の板垣退助の図が描かれました。
一方、昭和28年発行の100円紙幣には、老年期の板垣。
微妙に違い、100円札のお髭の方が立派です。
一方、明治18年から金本位制のもと発行された兌換銀行券のほうは
紙に使われたコンニャク粉のせいで虫食いが発生するなど問題勃発。
明治21-24年に新たな紙幣が発行されます。
明治24年まではデザイン、彫刻ともにキヨッソーネが担当し続けました。
10円紙幣に描かれているのは和気清麻呂。
和気清麻呂ならすぐそばにいる!
とばかりに公文書館を出てすぐ向かったのがこちら。
パレスサイドビルの前にそびえたつ和気清麻呂像です。
この像の写真は以前撮っている、、それは覚えているけど
(この像の足元で亀を放し飼いにして遊んでいる人がいたので撮影した覚えあり)
探す手間を省くために直行しました。
今日は午後から日差しがきつくなって、汗だくになりながら。
台座裏に寄贈者名はあるけど↓、制作者が出ておらず。
岡山県東京事務所のHPに出ていた情報で、
佐藤清蔵(後に佐藤玄々=三越の天女像の制作者)作と知りました。
さらにWIKIによると:
朝倉文夫、北村西望、佐藤清蔵の三氏に作成を依頼した。しかし、事前説明の不備から三者による競作と知らなかった朝倉文夫は原型を仕上げた段階で辞退し、結局佐藤清蔵の作品が選ばれた。
とのこと。
公文書館の本てはむろん、新紙幣発行に伴う企画なわけで、
新紙幣の肖像人物説明、見本展示などもありました。
が、キリがないので、個人的に面白かった点のみにて。