東京都写真美術館で開催中の「時間旅行」。

草創期の作品から駆け足で時代を探る展覧会。

ひとつに的を絞って紹介することに。

 

 

 

それは、時代を彩ったLIFE誌のコーナー。

ケネディ、月面着陸、マリリン・モンロー、エリザベス女王、オードリー・ヘップバーン、

ビートルズ、、、表紙は時代の一口要約と言った様相です。

 

 

 

ドアノーの代表作ともいえる一枚、「パリ市庁舎前のキス」については新たな発見も。

この写真はもともとLIFEの1950年6月12日号に掲載されたもの。

でも、掲載時はーー

 

 

 

6枚のキス写真のなかでも小さいカットに過ぎませんでした。

でも、掲載後に読者に見出されたのは一番ビッグサイズのものではなく。

 

 

 

読者は敏感。

一番スタイリッシュなこれが、のちのち一番有名に。

今見ても洒脱♪

右の写真も、女性がチャーミング。男性がもう少し洗練されていたら、

いい線いったのだけど?!
 

 

 

これらの写真につけられたキャプションは:Speaking of pictures...

サブタイトルは:In Paris young lovers kiss wherever they want to and

nobody seems to care

北米においてですら、こういう街頭キスがリベラルに映った時代だったんだなぁ。

1950年当時は。

 

 

 

「パリ市庁舎前のキス」は”やらせ写真”、とよく言われるけれど、

親族の証言によると、完全なやらせではないとのこと。

 

以前写真美術館で聞いたドアノー氏の次女フランシーヌ・ドゥロンディルさんのトークで、

彼女はこう証言していました:


知り合いの女性にそのボーイフレンドと1日パリ市内を散策してもらい、

それを追いながらレンズを向けた。

依頼写真ではあるけれど、指示は一切なく、普通にふるまってもらったので、
仕草は極めて自然なのだ、と。

 

そのほか彼女の話で印象的だったのは、ドアノーが戦時中ヒューマニズムの写真家として

地下活動をしていた、という話。

人道支援者たちにレンズを向け続け、ユダヤ人に偽造パスポートを作る人たちの

撮影に没頭していたそうです。

 

 

 

それから、ロバート・キャパの「Dデイ」も、やはりLIFE誌から

世界的に羽ばたいた作品のひとつ。

(そういえば、ドアノーも、キャパもともにファーストネームがRobertだわ。)

 

 

当初の掲載スタイルは、4枚同じサイズ。

そのうち右上だけが知名度でやがて突出します。

 

 

撮影日は1944年6月6日。

 

 

 

掲載号は、1944年6月19日。

撮影から発行までのリードタイムって、当時でもそんなに短かったの?

 

 

そしてこれが掲載されたLIFEの表紙はというと、

アイゼンハワーでした。

JUNE 19 ,1944の次に書かれたお値段は、10CENTS。10セント!

 

 

 

その3年後には15セントに値上がり。

年間購読だと5ドル50セント。

1936–1972年までは月刊誌ではなく週刊誌でした。

 (その後2004–2007年も週刊誌だった由。)

それにしてもグレゴリー・ペックかっこいい~。

 

 

日本特集号。

草履・靴は履いておらず、足袋でプレー。

1964年のものです。お値段は25セント。

 

 

 

いやはや、LIFE特集コーナーだけでも、わくわくの時間旅行でした。