すでに記したように、GWに自由学園明日館を訪ねました。

羽仁吉一&もと子夫妻がFLライトに設計させた理想の女学校です。

その話が、先日鑑賞したアーティゾン美術館の展示に直結すると知ったのは

つい先ほどのこと。

 

女性ジャーナリストの先駆け、羽仁もと子さんと羽仁吉一氏夫妻は

『家庭之友』(のちに『婦人之友』)社の創設者。
ということで、自由学園明日館の部屋には、初期の『婦人之友』が展示されていました。

なかでもうやうやしく飾られていた号には「羽仁吉一記念」の文字。

中のページには「二人の創設者ここに眠る」という見出し。

どうやらおふたりの没後に出た号らしいです。

この写真を撮ったときは、そこまでの認識でした。

でも今日、この写真をブログにアップするために改めて見て驚愕。

 

 

 

 

雑司ヶ谷におふたりの墓碑が建ったその記念号ということで、設計者が言葉を寄せており、

筆者、つまり墓碑製作者が、あの清水多嘉示だったのです。

5/6にブログに入れたあの画家・彫刻家の清水です。

 

 

 

墓碑を作る上で心掛けたこととして、

「どんな小さな部分でも全体のリズムにつながりをもたせ、まことをもって施工する」などと

書かれています。

なぜ碑の作者として彫刻家の清水氏に声がかかったのでしょうかね。

建築家の谷口父子は、墓碑や碑を日本各地に作っているけれど、

清水氏作の碑は、羽仁夫妻の墓碑以外に知りません。

 


 

 

で、その墓碑は、雑司ヶ谷霊園のなかでもひときわ目立っています。

3年前、夏目漱石のお墓を見にいったときに偶然見つけたもの。

 

 

夫妻の名前が刻まれています。

 

 

 

夫妻の娘説子さんとそのご主人、羽仁(森)五郎さんの碑はそのわきに。

こちらの碑の制作者はまた別の方でしょう。

 

 

 

清水氏の絵画作品はこちら。↓

先日紹介したマティスの影響を受けたものより後の作。

マティスやセザンヌ的筆触は影を潜め、やや古典回帰の様相。

テーマも奇をてらわず、書を読む女性という伝統的なもの。

そのなかで、粗く質感のあるブラッシュワークが印象的で、

新たな方向性を見出したかのようです。

 

 

 

ところで主婦の友の話が出たところで、ちょっと付け加えたいことがひとつ。

見学をしたこの自由学園明日館のはす向かいには、主婦の友社の社屋があります。

 

 

それがこちら。

なんだか窓の感じが自由学園に似ていませんか?

 

 

 

逆側にも同じ幾何学模様が使われています。

 

 

側面には新たな幾何学の窓。

 

 

 

これはフランク・ロイド・ライトの後を継いだ遠藤新の作?

と思って調べたら遠藤新の息子、楽氏が手掛けたようです。

向かいの自由学園と呼応するように意識していますね。

 

 

 

羽仁もと子さん関連では、以前麹町でこんなものを見つけました。

明治女学校跡地の碑です。

もと子さんは卒業生らしく、名前が書かれています。

先進的な女性を輩出した学校、とありますが、本当にそうですね。