NHKの建築ウォッチ番組「すこぶるアガるビル」。

私はつい最近その存在を知り、わずか2回見ただけです。

が、偶然?2回ともモダニズム建築の巨匠・村野藤吾が手掛けたビルでした。

ひとつが、つい最近の放映分・千代田生命保険本社ビル(現・目黒区役所)。

 

この建物は、経営破綻した千代田生命保険本社ビルに

そのまま区役所機能を移したもの。

なので、区役所らしからぬ和室や茶室が備えられていたりします。

 

目黒美術館で村野藤吾展が開催された時、この建築物のツアーが企画され、参加。

ツアーレポは、その際に何度かにわたりブログにも書き記したけれど、

ここでは番組との比較という切り口でちょろっと記します。

 

まず、番組が始まるやいなや、「”階段の魔術師”の枕詞が出ると思う」、

と夫に断言したとおり、この言葉、思った通り発せられました。

このビルの階段は、実際流麗かつちょっと不思議な様相です。

階段の「裏」を見せることも意識的。

 

 

手すりが二重になっていますが、上の段の手すりは後からつけたもの。安全措置です。

 

 

最下段の「浮遊感」も有名な話。番組でも触れられました。

 

 

地上から浮くように仕上げられた階段。↓

 

 

このホールも話題になっていました。↓

片側にだけ内側に柱が設置されており、中心軸がずれています。

すみません、この線の引き方、うまくないですが、要は中心線の位置は、

左側の壁から右側の壁の中央ではないということ。

左側の壁から右側の柱のまでを直線で結び、その真ん中が中心軸になっています。

 

 

天井のモザイクもれなく紹介。

 

 

すべて微妙に色合い・柄が違います。

 


 

それから、思い返せばテレ東系で放送された「名建築で昼食を」では、

和室が使われていましたっけ。

社員食堂もあるけど、素っ気ないつくりなので、わざわざここで特別に

ランチタイムにした模様。

 

 

 

 

以下、「すこぶる・・」の番組では余り大きく取り上げられなかったポイントを。

 

車寄せひさし自体はクローズアップされていたけど、

曲線の美しさには触れられていませんでした。

ツアーでは、階段のほか、曲線という切り口でずいぶんいろいろ見せて頂きました。

 

 

ホール側の1Fはこんなトンネルになっています。

 

 

芸が細かくて指摘されなければ絶対一人では気づかないのがここ。

床と壁が空い曲に交わるポイントが丸みを帯びていて、ここまでするかぁ、いや

参りました。

 

 

ホールの窓は下部にあり、床から腰の高さぐらいまで。

ここにも曲線が使われています。

 

 

むろんこの有名な部分の外見も。

 

 

屋上も。

 

 

最後に月のような丸を備えた和室。

電灯がおしゃれでした。

 

 

本番組ナビゲーターのアンガールズ田中卓志さんは建築がご専門だったんですね。

自然体の進行で見やすい番組でした。

ほかにどんなビルを過去取り上げたのか、アーカイブをチェックしなくては。

 

 

建築を見る1 村野藤吾の曲線

東京建築巡り12:正解は目黒区役所でした 村野藤吾の建築美

建築を見る2 村野藤吾の視線マジック