「この風景、あそこだ、あそこだー」

昨夜始まったドラマ「となりのナースエイド」(日本テレビ系)を見ていた夫が

突如声を上げました。

 

隣の部屋でPCに向かっていた私は、ドラマをとりあえず見る気でいたものの、

チラ見程度。

画面に映った背景の場所の特定はできず。

 

「ほら、塙保己一資料館だよ、広尾の!」

どうやら主人公の澪ちゃん(演じるのは川栄李奈さん)が住む”寮”という設定で、

塙保己一資料館が映っていたのです。

 

えー、、あの登録有形文化財のあの資料館を寮にするとは予想外。

(むろん内部は別の場所で撮影。)

 

 

 

塙保己一資料館を最初に見つけたのは2013年のこと。

恵比寿方面から国学院博物館に行く途上でした。

それ以降、何度か内部にも入りました。(100円で入れます。)

当時撮影した写真(トリミングせずそのまま):

 

 

加工していない上の写真とほぼ同じ角度で映っています。

黄色いコートの川栄ちゃんが出てくるところ。↓

 

もの好きな私のことなので、もちろん比較してみました:

「社団法人 温故知新」と書かれた門柱は、上にそれっぽい門灯をくっつけて、

「星和寮」のネームプレートになっている~。

 

 

その後、夜のシーンでは、ちゃんと門灯がついています。

 

ここで、この建物になじみのある人は、ははーん、と思うハズ。

この寮の建物を映すときは、いつもこの角度に違いない、、

中に踏み込んで映すことはあるまい、と。

なぜなら、、、

 

 

 

少しでも中に踏み込むと、塙保己一さんの銅像がもれなく目に入ってくるからです。

この銅像が映ってしまった途端、”寮”という設定がおかしなことになりそうです。

 

 

「おいおい、わしはドラマデビューさせてくれないのかねぇ、、」

そんな声が聞こえてきそうな表情の保己一さん?!

 

 

 

冒頭のとおり、「あれ、あそこだ、あそこだー・・・塙保己一の資料館!」

と叫んだ夫は、続くシーンでも「これ、氷川神社の前!」とはしゃいでいました。↓

ジャストこのスポットで写した写真はないのでー

 

 

Google mapから。電柱などを確認すると、この場所になります。

この先左側には広尾中学校と都立広尾高校。

右手の木が茂っている場所は氷川神社です。

 

神社内の写真ならあります。2015年に撮影。

 

奥には相撲の土俵があります。

 

 

「となりのナースエイド」初回では、ノーマスクで凛が手術室に入ってくるシーンなどがあり、

(私も、思わず「ノーマスクーーー!」と声をあげたほど)

監修不足に声があがっているそうだけど、私は楽しめました。

川栄ちゃんが可愛かったし、

船越英一郎さん主演「外科医 鳩村周五郎」のほうが、”あり得なさ”加減では上を行くと思うので。

(鳩村周五郎は、自分が勤める病院でもないのに病院ジャックして勝手に外科手術しちゃう。)

 

ちなみに夫の友人で警察関係の人いわく、一番信じられないミステリードラマは

「科捜研・・・」らしいです。

マリコさんは、検視調査係や刑事役までやって司法解剖にも顔を出しますからね。

(もっとも、一昔前はもっとはちゃめちゃだったような。葬儀屋さんに捜査情報全部あげちゃうとか。)

結局のところ、ミステリーで合格が出るものは一切ない、と言い切っていました。

まあ私としては、あくまでドラマだからストーリーが楽しめればいいんです。

 

 

さて、この機会に、塙保己一資料館について。

(アメブロ引っ越し前のブログにも書きましたが。)

 

資料館では、「群書類従」の版木が壮観でした。

保己一に関する説明も受けました。


版木にはどんな木を使うのかと思いきや、桜の木だそう。

頑丈らしいです。

両端に添え木をしているとはいえ、

歪んだりたわんだりせず保管されています。

関東大震災や世界大戦でも被害に遭わなかったのは、

地下室を作って守った人たちの努力があったからこそ。

この版木に墨を塗って和紙をのせ、摺られた和紙を綴じて製本、という流れです。
 

保己一は、夥しい数の書物を収集したうえで、

専用の木彫り職人に依頼し、版木を製作させました。

数が限られる「紙」という媒体で残すのではなく、次々複製可能な版木というかたちにして、

散逸・消滅が懸念される貴重な史書や文学作品を後世に残す、

そんな志に突き動かされてのこと。

 

書の収集のためにセールスマンと懇意になりますが、

周囲の心配をよそに、値切ることなく言い値で購入していました。

恩を売ることで良書を回してもらえる、そんな思惑があったようです。

結果、借金を背負い、返済は三代先にまで及びました。

 

一方で、どんな本でも勧められるがままに購入したわけではなさそう。

「徒然草」の一部は版木に残したものの、「源氏物語」は除外。

すでに大量に書のかたちで出回っているものははずしました。

散逸の恐れがあるもの、という独自の視点に基づいて計画的に進めています。
さらに「xx本」、「●●本」というふうに、さまざまなバージョンがある

同一作品については、オリジナルの文章に近いものを検証したうえで選んでいます。

 

盲目だったので音読をしてもらう必要はあったものの、それらを暗記する

能力はずば抜けていたそうです。

 

版木: