清澄庭園で聞いた関東大震災後の復興住宅の秘密

 

 

令和6年能登半島地震に関連する小池都知事の声明を目にしました。

「都営住宅100戸を無償で提供する」と。

むろん今はライフライン確保もままならず、その先まで見通すことすら難しい状況でしょうが、

まずは今の時点で選択肢を提示して、少しでも安心材料になれば、という意図だそう。

 

そうした東京都の取り組みは別にして、通常の避難住宅などは、一体国のどの機関が

一義的に担うのかしら?とふと疑問。

復興庁というのは東日本大震災に特化しているはずだし。

 

内閣府の防災情報を見たところ、1府12省庁ほとんどすべてが災害対策本部や情報連絡室を立ち上げ、各々の分野で分担して細かく対応に当たっているのがよくわかりました。

 

例えば、厚労省。健康管理以外にも守備範囲がすごく大きい組織。

素人が考え付く対応案件以外にも、被災した被保険者に係る国民年金保険料免除の指示など、報道には浮上しないような細かい事案も業務に含まれています。

環境省の業務範囲には、例えば、災害廃棄物の害虫及び悪臭への対策もありました。

財務省なら、無償提供が可能な未利用国有地等リストを地方公共団体に提供する業務とか。

総務省は、通信事業を担ってきた郵政省が半分母体なので、通信サービス確保もミッションのひとつです。

続きは本記事の後半に書くとして、本日のタイトルの話を。

 

 

避難住宅とは違うのですが、2017年に清澄庭園を散歩したときに、

「旧東京市営店舗向住宅」と呼ばれる長屋群を見つけました。

 

自治体の説明によるとこれは、「関東大震災後の復興事業の一環として、東京市が昭和3年(1928)に建設した店舗付住宅」である由。

それが清澄庭園の裏のほうにズラリ何十軒も連なっているのです。

高さをそろえて、意匠は類似のものにして、色味を変えたものを長屋式に建てたようです。

例えば下の写真のように、両方の家に同じ切込み意匠が見られます。

恐らく当時のものなのでしょう。

 

 

この赤い建物にも同じ意匠がついています。

しかしその両隣はリノベをしたのか、例の意匠は消え、やや新しく見えます。

奥の家には3階部分が後付けのようにくっついています。

 


 

 

この復興住宅については、補足情報があります。

清澄公園の庭園トークに参加した時のこと。

ボランティアの方がこんな話をしていました:

 

もともと清澄公園は、岩崎家が造園した庭だが、当時は東京市の管轄になっていた。

管理には結構な維持費がかかる。

そこで、同じ東京市が管理する東京市営店舗向住宅の家賃収入の一部を、その維持費に

充てていた、と。

 

長屋とはいえ、意匠を見るにつけ、なかなかおしゃれですし、

避難住宅ではなく生計を立てるための店舗付き住宅なので、

それなりの賃貸料を取っていたのでしょう。

 

 

 

 

下の2軒の家の2階の上方には4本線の溝がついています。

一続きで彫られたかたちですから、オリジナル時のものなのかと。

右の家は改装したと思われます。

 

 

この三角の瓦などは、後からつけたのでだろうな。ほかの家と趣が異なっているので。

 

 

この昭和初期の店舗付き住宅は、いまも立派に、店舗として使われていました。

私が見たのはコロナ前ではありますが、稼働率はなかなか高かったです。

 

 

 

こちらの↓写真2枚には、オレンジ色の議員立候補者ポスターが写りこんでいます。

このとき、一番数多く目にしたのが、この人たちのポスターでした。

どうやら夫婦らしく、夫の方は先日買収容疑で逮捕されました。

ニュースを見たとき、ああ清澄白河で見たあのポスターの人だな、とすぐわかりました。

苗字からして、この人はきっと故・柿澤弘治元議員の息子なんだろう、

と思って凝視していたので。

弘治氏は、なかなかイケメンだった記憶があります。

 

 

 

清澄白河界隈は、一時に比べてずいぶん注目を浴びるようになりました。

この長屋群も、ますますパワーアップしているかもしれません。

 

*****

 

さて、冒頭の話題の補足です。

災害対策本部や情報連絡室を立ち上げた省庁は以下のとおり:

 

●内閣府(例:調査チーム派遣)
●気象庁
●警察庁
●消防庁
●海上保安庁
●防衛省
●総務省(例:通信サービス確保)
●法務省
●外務省
●財務省(例:無償提供が可能な未利用国有地等リストを地方公共団体へ提供)
●文科省(例:大学附属病院より災害派遣医療チームを派遣)
●厚労省(例:DMAT=災害急性期対応の医療チーム派遣、被災した被保険者に係る国民年金保険料免除を行うように指示,その他医療関係)
●農水省(例:食料物資支援チームを設置)
●経産省(例:物資供給関連)
●国土交通省(TEC-FORCE=緊急災害対策派遣隊派遣や交通関係その他もろもろ)
●環境省 (例:災害廃棄物の害虫及び悪臭への対策)
●金融庁 (「災害等に対する金融上の措置について」を発出)
●国土地理院(被災状況調査)
●原子力規制庁
●こども家庭庁 
●国土技術政策総合研究所等

 

 

で、冒頭の疑問、避難住宅の確保ですが、この↓防災情報レポートでは現時点でそこまで触れていませんが、調査報告の内容に照らすと、国土交通省が担うのかな、と思いました。

https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/r60101notojishin/pdf/r60101notojishin_03.pdf