東京国立近代美術館で開催中の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」。
(6/13-9/10)
いわずと知れたスペイン・カタルーニャ建築の巨匠ですが、今回まずハッとさせられたのが、
彼の名前。
アントニオ・ガウディと思っていたけど、館内表示はアントニ・ガウディ。
そうか、マドリードを中心とするカスティーヤ語ではなく、カタルーニャ語の表記で
呼ぶのが正式なのだ、と。
確かにカタルーニャ語って、通常のスペイン語とは違い、特に現地レストランのカタルーニャ語メニューに難儀したのを思い出します。
さて、今回の展示ですが、前半はガウディの若かりし頃の図面や、参照した文献など。
イスラム様式の書もあり、これを見ると、ガウディは当時のカタルーニャで流行した模様を追求したわけでなく、世界各国の文献を読み漁った末誕生したのがあのスタイルなのだ、と気づかされます。
第2部は、サグラダ・ファミリア以外の作品について。
そして最後の第3部となる数部屋がサグラダ・ファミリアに捧げられています。
第2部と3部は写真撮影可能です。
1800年代からのサグラダ・ファミリアの外観変遷写真を見ると、ここから今の形までの隔たりの大きさを痛感します。
ここでまず前提として重要なことは、ガウディは、サグラダ・ファミリアの2代目建築家であり、初代建築家ではない、ということ。
現在のジョルディ・ファウリは9代目に当たります。
変遷写真を見ながらひとつ思い出しました。
1959年当時のサグラダ・ファミリアをTV番組「兼高かおる世界の旅」で見たことを。
10年以上前だったかと思いますが、「兼高かおる世界の旅」の昔の放映分を
一挙まとめて放送していて、第二回放送バルセロナ編が含まれていたのです。
そのときのことをブログで文章にしていました。
「(1959年当時の)サグラダ・ファミリアは、まだ大きな石がごろごろしていて、工事現場そのもの。例の尖塔部分のみができているけれど、あとは未完成というよりまだ造っていません、
という状況」。
さらに、私が現地に行った2009年はこんな感じでした:
展覧会出展数が多すぎて、ブログで1回にまとめるのは無理なので、まずはメジャーな展示物から。
今回降臨の正面の彫像が断片も含めズラリ並んでいます。
そのうち注目の的は右側。
通算でガウディよりも長くサグラダ・ファミリアに関わってきた主任彫刻家・外尾悦郎さんが手掛けた歌う天使たちです。
降臨の正面はこの部分;
比べてみました。
これを見たとき、あれ?展示にある彫刻は、現地で見たものよりもやや有機的というか、
柔らかい気がしました。
比較すると、やはり今ある最終的な彫像は、造形がもう少しシャープです。
ほかに、建築に付随して手掛けた家具や、
実現しなかったけれどニューヨークに作る予定だったホテルの模型も。
(この模型は、ガウディが作ったのではなく、比較的最近企業参画の形式でできたもの。)
お勧めは最後のほうの高精度ビデオ。
これで最新の全体像を把握して前の部屋に戻ると、わかりやすかったです。
続きは後日。
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巡回:
滋賀会場:2023年9月30日(土)~12月3日(日) 佐川美術館
愛知会場:2023年12月19日(火)~2024年3月10日(日) 名古屋市美術館