先日出光美術館で仙厓展を鑑賞。

 

この美術館で仙厓展を見るのは3,4回だけど、

見れば見るほど心に沁みるので(後述)再訪しようかなー

なんて思いつつHPを見ていたらお知らせが。

 

出光美術館が入っている帝劇ビルと隣接する(というか密接というか)国際ビルが

一体化して建て替えられるとのこと。

 

日程は2025年から。

完成後、出光美術館は再びこの地で営業再開するそうです。

 

新美術館はきっと、出光が一括購入した壮大なプライスコレクションが

たっぷりみられるような展示空間になるのでは。

 

もっとも現在の谷口吉郎さん作の建物も好きではありますが。

特に第一室右奥の階段付きの行程差のあるガラス展示空間は

大きなアクセントになっていて、あの特別感が好き。

 

きっと学芸員さんたちも、あそこに何を置くか、

あれこれ策を練ってきたのじゃないかな。

 

ほかにも、東御苑を見渡す展望窓や、お茶が頂ける(コロナ前までは)ソファなど

愛着のあるスペース。

窓際天井のライトなどは、同氏が手掛けた旧ホテルオークラの面影を宿しています。

 

 

ところで件の仙厓展、今まで見たことのない作品も結構あるなぁと思って見ていたら、

出光が所蔵する仙厓の絵・書は1000点にも及ぶのだとか。

 

特に今回、仙厓さんが描いた緻密な絵や正統派の(狩野派的な)絵があって

こんな絵も描けるんだ(失礼)、と驚愕。

仙厓さんは敢えて途中でその画風を捨てたわけです。

今回、”ゆるい画”に転じた経緯が説明されていて、なるほど、と膝を打ちました。

 

うまい絵にばかり突っ走ると、雪舟のように禅僧としての名声がなくなり、単に画僧とみなされてしまう、それを危惧して敢えて力を抜いた、ほんわか系の画風を選択した、とのことです。

 

でもだからこそ、押しつけがましさがなく、時に優しく問いかけるような

時に寄り添うようなメッセージが伝わってきます。

 

 

◆ 出光佐三氏が仙厓に目覚めたきっかけ=初めて購入した絵

 

こちらが有名な「指月布袋画賛」。↓

出光佐三氏が初めて購入した絵として知られます。

 

改めて凝視したら、滲みやかすれなども駆使して、

筆致の妙が見て取れます。

(右のキャラクターの腰巻の後ろ部分は特に漆黒の滲みが印象的。

おひげはグラデーション。)

同じ輪郭線でも変化に富んでいて、

なのにそんな技法やうまさをゆるキャラ2人が完全に打ち消してしまっている、、

絶妙な絵なのでした。

 

 
 
 
◆病床の佐三氏のもとへもたらされた出光仙厓コレクション最後の一枚
 

「双鶴画賛」という鶴の絵は、病床にあった佐三氏のもとに届けられたものだそう。

これが佐三氏にとって最後の収集作となりました。

 

描きこまれた絵に添えられた字は:

「鶴ハ千年 亀ハ萬年」

そして追記が:「我れハ天年」

 

鶴や亀は長寿だけど、自分は天命を全うするのみ。

限りある命に感謝しつつ最後まで生き抜く、、、

佐三氏は、最期のときまで仙厓さんに寄り添うことができたようです。

 

 

◆仙厓、最後の一枚

 

仙厓さんが最後に描いた絵も今回お目見えしていました。

「牡丹画賛」です。

「植えて見よ花の育たぬ里もなし」

=植えてみるがいい、花が育たない土地などありません、

筆の衰えは一切見られませんでした。

 

 

 

◆これも好き!

以前見た覚えのあるダイナミックな柳図もありました。

 

風(いや暴風?)に吹かれもてあそばれているかのような柳に添えられていたのは、

「気に入らぬ 風もあろうに 柳かな」

タイトルもそのとおり、「堪忍柳画賛」です。

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