今年は豊川稲荷にお参りに行こう、と決めた日から、虎屋とセットで行くことをもくろんでいました。

なにしろ両者は246をはさんでほぼ向かい合っていますし。

なにより今年は寅年ですし。

 

結局新年に出遅れてラッシュアワーのごとくピーク時になってしまい出直すことにしましたが、ころんでもただでは、、、のごとく虎屋赤坂ギャラリーだけは覗いてきました。

 

寅年特集を期待して。

以前ピエール・エルメのお菓子展の紹介をした、あの場所です。

 

期待は裏切られることなく、というか期待以上で、虎屋の様々な虎図がちりばめられ、その歴史の一端が紹介されていました。

 

(追記:「とらやと楽しむ寅年展」というのが正式名称でした。最下段に会期なども追記。)

 

 

 

 

パノラマで撮影するとこんな感じ。

いやあいろんな面構えの虎がお店を彩ってきたことがわかります。

 

 

 

なかでもへえ、と思ったのが掛紙に使われている虎の来歴。

(現在は羊羹の掛紙)。

かの富岡鉄斎が描いたものでした。

創業者と懇意にしていたらしく、この図以外にもさまざまな虎を提供しています。

 

 

 

この羊羹の掛紙はよくよく見ると、

富岡鉄斎、という落款は入っていないものの、代わりに「鉄道人寫」の文字。

鉄斎は鉄道人とも名乗っていたそう。

だから鉄道人 寫(=写)。

落款を模した印刷のほうは、古い書体で「鉄斎」と入っています。

 

 

 

いつからこの掛紙が使用されたのかは不明。

昭和6年には使用されていたことがわかっています。

↓こういう資料は、おそらくとらや文庫が管理しているのでしょう。

 

 

 

↓2016年のとらや文庫の講演会、面白かったです。

何しろ創業が室町時代なので、伝統の重みを端々に感じました。

 

 

 

ここでひとつ誤解が解けました。

おなじみの虎屋の袋や箱。

重箱の柄を転記したもの、と聞いていたのですが、以前テレビ番組でも紹介されていた螺鈿でできた美しい重箱「竹虎青貝井籠」がおおもと、と思っていたのです。

ところがそうではなく、

 

 

 

実際袋デザインに取り入れられたのは、こちらの↓「雛井籠」という雛菓子用のこぶりな菓子入れのほうでした。

なるほど、確かに図柄が一致します。

 

 

 

現在も、「雛井籠」に似たタイプの箱は、ひな祭り時に菓子詰め用として使われているとのこと。

 


 

 

上述の貴重な「竹虎青貝井籠」は、今回ギャラリーに展示されていました。

ゴージャスで、螺鈿がキラキラ輝いています。

こちらは元禄11年に作られたものを現代において複製したものになります。

 

 

 

干支のお菓子の歴史や

 

 

 

富岡鉄斎のとら図各種も写真パネルで。

 

 

 

これだけ様々な虎図の歴史を持つとらやさん、寅年にちなんで過去の財産をいろいろ披歴してくださっています。

 


 

友人がミッドタウンの方のとらやに行ったとのことで、あちらでも虎がらみの展示が行われているようです。

 

 

 

大正時代のお店の前で。

暖簾のとらやは右から読ませる当時のスタイル。

今も同様です。

 

 

 

 

 

これほどまでの歴史あるお店が途切れることなく続いているのは、時代の空気を読んで、しなやかに生きてきたからこそなのでしょう。

 

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★【とらやと楽しむ寅年展】 虎屋 赤坂ギャラリー
【会期】2021年12月1日(水)~2022年4月5日(火)
【時間】9:30~18:00
【場所】虎屋 赤坂ギャラリー
【電話】03-3408-2402(担当部署:虎屋文庫)
【展示期間中の休業日】2022年1月6日(木)、2月6日(日)、3月6日(日)