6月12日追記)

三菱一号館美術館のナビ派の子ども展が再度会期延長になったようなので、慌てて行く必要はなくなりましたね。

 

https://mimt.jp/blog/museum/?p=7172

 

 

 

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コロナ休館の前々日に開催されたブロガー内覧会 三菱一号館美術館

 

おととい、とんとん・にっき2さんが三菱一号館美術館「画家が見たこども展」

ブロガー・特別内覧会の記事<再掲>という記事を出されていて、はっと気づかされました。

 

私、ブロガー内覧会に出席させていただいて、フィードバックをまだしていなかった・・と。

 

とりあえず本展の導入部として

アートで癒し:臨時休館が終わったら 三菱一号館美術館」という記事は書き、

主に会場のレイアウトの工夫に関する話だけはしておいたのですが、

展覧会内容の記事は美術館が再開してからにしよう、と思っていたのです。

 

そう、ブロガー内覧会が開催されたのは2月26日。

新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止で三菱一号館美術館が休館になったのは

2月28日のことだったので。

 

 

本展はナビ派の絵画に描かれた子供たちを扱っているのですが、

家族などのプライベート空間を得意としたナビ派ならではのテーマかなと思います。

 

展覧会主旨などは公式を見ていただくとして、個人的には以前東京都庭園美術館で開催された

鹿島茂先生所蔵・子供向けの絵本展(19世紀後半あたりから)をふと思い出しました。

 

フランスでは子供は大人未満として軽視された存在であったのが、徐々に認識が改まり

絵本なども子供だましではなく、しっかりしたものが作られるようになったという趣旨のもと

開かれた展覧会でした。

 

どうやらそうした子供の人格を再評価する動きにナビ派が貢献していた模様です。

 

 

今回改めて感じたのは、モーリス・ドニの絵はナビ派の中でも宗教性を感じさせる、ということ。

 

特にこの「青いズボンの子ども」(右)はまるで市民をモデルにした聖母子像のよう。

背景に金が使われているところなどは、ビザンチンの聖母子像とか

ロシアのイコンを彷彿させます。

 

実際解説を読むと、背景に描かれているのはボッティチェリの「聖母子と幼い洗礼者ヨハネ」の絵なんだそう。(ルーブル蔵)

 

*写真は内覧会時に許可を得て撮影しています。

 

 

「聖母子と幼い洗礼者ヨハネ」の画像を見つけてきました↓:

上の画中画の左に、洗礼者ヨハネがくっきり見えます。

(くっきりといっても頭部がここ、といったかたちでね。)

 

(*以下の聖母子像は今回の展示物ではありません)

 

 

ドニといえば、下右の「子ども部屋(ふたつの揺りかご)」がそこはかとなく気に入りました。

清潔感があって、それゆえに子どものピュアな雰囲気が感じられて、

こういう子どもの絵って珍しいというか既視感がなく新鮮。

(追記:個人蔵なので本作はなかなか見ることが難しそう、と思っていましたが、これまでも貸し出しがあったみたいですね。失念していました。)

 

 

 

でも私の一番はなんといってもこれ:

ピエール・ボナールの「イザベル・ルコント・ドゥ・ヌイ嬢」(下)

 

抱えている犬などは早いタッチでざっくり描かれているけれど、

少女の目は何度も慎重に色を重ねられていて、

純粋さをたたえる目力(写真だと伝わらない!)に画家が惹かれている様子が

感じられます。

まあ、小難しいこと抜きに、とにかくカワイイ!

 

 

 

前回のエントリーに「色合いの優しいアリスティド・マイヨールの絵」と書いたとおり

彫刻家としての方がなじみがあるアリスティド・マイヨールの絵も爽やかで少し瞑想的で

いつまでも見ていたかった~。

 

 

そしてツボはこれ:

テオフィル・アレクサンドル・スタンランの「人形を抱く子ども」。

スタンランがこんな子どもの絵を描いていたの??

びっくり・びっくり。だってーー

 

 

スタンランといえば、パリのキャバレー”ル・シャ・ノワール”のポスターの

イメージが強すぎて。

 

(Tournée du Chat noir)

 

 

他にも、あのシニカルでミステリアスで研ぎ澄まされた感じのヴァロットンが「ベレー帽をかぶる子ども」といった写実画を描いていたのもびっくりでした。

 

 

下は、

フィンセント・ファン・ゴッホ「マルセル・ルーランの肖像」(左)

メイエル・デ・ハーン「ミミの横顔のある静物」

 

ゴッホの子供アップ図もレアです。見よこの存在感。

 

右の絵の作者、メイエル・デ・ハーンはゴッホの弟テオと一緒に暮らしたことのある画家だそうで

ブルターニュのポンタヴェン(芸術家村=行ったことあります。ゴーガンの黄色いキリストがある教会が有名)でゴーガンとも親交を結んだとのこと。

 

知らない画家だなぁ、と思ったら、知っていました。

ゴーガンが彼の肖像画を描いていました。

 

 

 

 

ゴーガンが描いた「メイエル・デ・ハーンの肖像」↓

なんとこれの被写体が上の絵の作者デ・ハーンだったのか。

恐ろしい顔で描かれていて、容赦ないゴーガンらしいなぁ。

 

ブリヂストン美術館のカイユボット展で「ゴーガンはカイユボットをいじめた」という

説明を目にして以来、私の中のゴーガン人間像は容赦ない人、なのです。

 

 

(*以下の1枚は今回の展示物ではありません)

 

 

*** 開催要領 ***

 

展覧会名 :「画家が見たこども展―ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン」
会場 :三菱一号館美術館
会期 :2020年2月15日(土)~ 6月7日(日) 6⽉21⽇(⽇) 9月22日※会期再延⻑
開館時間 :(6月9日~6月21日) 10:00~18:00
休館日 :6月15日(月)
HP https://mimt.jp/blog/museum/?p=7162
特記 ※日時指定予約制 https://mimt.jp/ticket/

(注:再開にあたり、開館時間、休館⽇、チケット購⼊⽅法が変更)