8月17日の投稿の続き(「三渓園  鶴翔閣特別公開と日本画記念展示は明日まで」)です。

 

この夏、久々に三渓園を訪問し、過去スルーしていた三渓記念館をじっくり見てみました。

 

 

そもそも三渓園は原三渓氏が作らせた鶴翔閣など、伝統的な建造物がてんこもりで、記念館と名のつく建物は、つい無味乾燥なイメージを持ちがちですが、よく見ると各所に工夫が凝らされていて、みどころがありました。

 

設計者は大江宏氏。

例のイスラム建築のような角館町平福記念美術館(角館にあるエキゾティックな光景の正体は・・)を手掛けた人です。

 

この記念館、近くからは一見普通っぽい記念館に見えるのに、遠目から見たときの三角屋根の林立ぶりは、なかなか壮観。

 

 

 

 

入口部分はよく見ると黒い丸柱がペアになっていて、おしゃれです。

 

 

エントランスの斜め格子が軽快で。

 

 

 

外壁も、模様を描いていて、一工夫。

 

 


ちょっと「なまこ壁」を想起します。

なまこ壁モダン版とでもいいましょうか。

 

 

 

そして裏側は、池になっているという事実は見落としがち。

 

水辺の建築といえば、谷口吉生さんのイメージがありますが、こうした先行例はいろいろあるのでしょうね。

 

 

 

 

なかなか表情豊かな池でした。

 

行ったのは8月の暑い盛り。

曇りがちではありましたが、緑が冴えわたっています。

 

 

 

そして内部。

壁が直線じゃないのです。

 

 

 

下のラインをよく見ると、軽い弧を描いていて、壁が波打っています。

すぐにそれとは気づかないところで工夫が数々。

 

 

上の写真のとおり、縦にはスリットのような窓がついていて、こちらも何気ないアクセント。

 

 

 

1F入ってすぐの天井はステンドグラス風。

木材の使い方も表情に富み、記念館らしく派手さはないけれど、さりげない意匠を探す楽しさがありました。

 

 

 

ちなみに、先日記した三渓園・鶴翔閣の修繕には、大江宏氏のご子息が関与しています。