◆ 使用人の数は136人!カーテンはウィリアム・モリスの「いちご泥棒」!和と洋が融合する前田家本邸

 

 

去年金沢旅行で目を見張ったのが、いまだに町中のそこかしこに見受けられる加賀100万石前田藩の名残り。

(Re:ステンドグラスの窓が美しい尾山神社(金沢)の後半部分)

 

お屋敷街が残り、家紋・加賀梅鉢が散見され、かつての豊かさが町の雰囲気に織り込まれているかのように感じたものです。

 

その豪奢なかつての暮らしぶりは、東京・目黒に今も残る旧前田家本邸(前田利為侯爵の東京の邸宅)でもうかがうことができます。

なにしろこの都内の館で雇われていた使用人の数は136人!

全員加賀出身なのだとか。

 

 

以下写真は、駒場公園の新緑の中にたたずむ前田家本邸の外観・内観。

5月の連休中に訪れたの様子です。

 

まずは正面玄関。

 

館内ツアーに参加して伺ったところによると、建築は英国チューダー様式とのことでしたが、いまひとつピンときません。

ただ、これまで見た旧邸宅系の建物のどれにも似ていないなぁと感じます。

 

昭和4年竣工とのことで、時代的に言うと、現東京都庭園美術館、旧朝香宮邸と似たような時期ですね。

 

旧朝香宮邸は昭和4年に着手し、8年に竣工です。

前田家がイギリス好きでチューター様式ならば、朝香宮家はアール・デコ花盛りのフランス帰りで、邸宅もアール・デコ様式。

 

具体的にこの2つを対比した文章などは見かけたことはありませんが、じっくり比較してみたらなかなか面白しろそう。

 

 

 

 

こちらは邸宅内にあったトランク。

1930年に一家がイギリスから帰国した際に使用、と書かれていました。

やはり家紋は必須のようです。

 

 

 

 

前田邸訪問は2度目ですが、前回気づかなかったポイントがこれ。

 

カーテン柄です。

ウィリアム・モリスのいちご泥棒でした。

 

建物自体も上述のとおりイギリスのチューダー様式ですし、モリスもイギリス人の画家・意匠作家。

上のトランクもイギリスからの帰国のときに使用ということで、前田利為侯爵のイギリス趣味が全開です。

 

 

 

 

カーテン生地もけケチることなく、たっぷり使われています。

 

この邸宅の謳い文句が「(豪華さで)当時東洋随一と言われた」なので、当然でしょう。

 

どこでこの文句を聞いたのかなぁ、と考えていたら思い出しました。

「ぶらぶら美術館」でした。

たまたまつけたら前田家特集をやっていて、途中からですが見たのです。

 

 

 

モリスの数あるモチーフの中でもこれを選んだということは、やはり当時英国で「いちご泥棒」は圧倒的な人気を博していたのでしょうね。

 

 

 

さて、前田家らしいと思われたのがこちらの寝室。

デコレーションテーストは洋風ですが、壁龕には・・・・なんと守り刀。

 

 

 

洋風のカーペット、ベッド、カーテン、壁紙、、、に囲まれて鎮座していて、なんとも異色感満載です。

 

 

 

ラジエーターカバーも洋風だなぁ、と眺めていたら

 

 

 

しっかりここにまで家紋の梅マークがありました。

 

 

 

 

別棟の和室のふすまの引き手には、言わずもがな、、の梅。

 

 

 

全部屋のカーペットがそれぞれ異なるなど、カーペットだけでも見ごたえがありますが、ここでは割愛。きりがありません。

 

代わりにほかの見所を:

大理石の壁には柱頭をあしらった彫り模様。

洋風神殿のテーストが加わっています。

 

 

 

 

床の寄せ木細工も様々なパターンがありましたので、要チェックポイントです。

 

  

 

 

電灯も様々なパターンが見られ、

朝香宮邸と似たようなタイプのものもありました。

 

とはいえ多かったのがこの梅の花に似たような形のフォルム。

家紋の梅の花びら数は5.こちらの電球の数は6、ということで数が異なるので、家紋を模したわけではないのでしょうが。

 

 

 

 

 

これもいちいち載せているときりがないのでひとつだけ。

手すりの透かし模様などもそれぞれに凝っています。

 

 

裏の様子。

 

 

 

長らく改修工事をしていた和室もすでに公開になっています。

 

 

 

駒場公園の一角にあり、目黒区が管理しているようで大々的な宣伝はありませんが、無料公開にしてはなかなか見ごたえのある邸宅だと思います。

 

https://www.city.meguro.tokyo.jp/gyosei/shokai_rekishi/konnamachi/michi/rekishi/hokubu/kyumaeda.html