◆NHKの協力のもと、このほど碌山美術館の秘蔵品が明らかに◆
蔦のからまる味のある建物が魅力の碌山美術館。
紅葉の時期ともなれば、いっそう枯れた雰囲気に磨きがかかり、
なかなかフォトジェニックです。
名前からわかるとおり、こちらは彫刻家として名を馳せつつも
早世した荻原碌山(またの名を荻原守衛・享年31歳)の作品を中心とした美術館。
彼が活動した安曇野にあります。
ちなみに、荻原碌山の代表作と言えば「女」でしょう。↓
国立近代美術館やこの碌山美術館で見ることができますが、
このモデルは、中村屋の女主人である、という説があります。
中村屋はご存じの通り、当時でいうメセナ活動を積極的に行い
芸術家たちの庇護者として機能。
多くのアーティストたちが中村屋に集いました。
(国立近代美術館で中村屋に集まった芸術家たちという特集展示を開催していて
そこで私はこの事実を初めて知ったのですが。
フランスなどでは貴族女性がサロンを開いて芸術家たちと交流を図りましたが
日本でそういった活動をするのはレアなケースですね。)
碌山も中村屋に出入りするうちに、魅惑的な黒光さんに恋心を抱くようになった模様です。
ちなみに今放送中のNHK朝の連ドラ「なつぞら」に出てくる川村屋というのは中村屋のもじりですが、
比嘉愛未さんが演じているのが、中村屋の女主人・相馬黒光さん(を投影した人物)です。
この「女」の像は、中村屋で月餅として生産され、特別な機会に振舞われました。
私は2回ほど手に入れたのですが、1度は中村屋サロン主催の美術小旅行に参加したとき、
2度目は、中村屋サロン(新宿にあり、美術館になっています)1周年記念日に訪問したときです。
食べるのがもったいなかったですが、しっかり頂きました~。
さて今日碌山美術館を話題にしたのにはわけがあります。
本日のNHKの朝のニュースで話題をまいていたんです。
なんでも昭和36年にこちらを訪れた現上皇ご夫妻(当時は皇太子ご夫妻)のお姿が映った
貴重なビデオテープの全貌が明らかになったとか。
ニュース報道によると、もともとこのテープの存在はわかっていたものの、
16㎜テープということで再生する機器がなく、内容を一度も確認していなかったそう。
このほどNHKの協力の元、再生に成功。
そこには、ういういしいご夫妻の姿がばっちり収められていました。
碌山のご親戚もその一報を喜んでおられました。
ちなみにこの方のお宅の玄関先にははやり「女」の写真が飾られていました。
これが初公開のビデオです。
お美しいーーー、美智子様!!
一般市民に近い存在として新たな皇室の在り方を模索していた頃、とNHKの弁。
さきほどの写真に写っていた敷地内のチャペルも映っていました。
手前にあるのは「労働者」という大きな筋骨隆々の野外作品。
角度が違いますが、こちらです。
これも代表作のひとつ。
ビデオは、今後碌山美術館で一般に公開する構想もあるようです。
驚いたのはおふたりが載っていらした車。
このロゴ知りません。
どこの車でしょうね。
ずいぶん古めかしい車です。
ナンバープレートもどこかパリっとしません。
碌山美術館は中村屋さんのツアーで行ったのですが、
近隣の観光付きで、無駄なく行けてよかったです。
上述の月餅も頂けて!
敷地内にはいくつか建物が分散していて、
なかなかアットホームな雰囲気。
こじんまりしていて好感度の高い美術館。
以前紹介した朝倉彫塑館のようにぬくもりを感じる場所です。
下の写真はミュージアムショップ。
学芸員さんのトークも拝聴し、中村屋を軸に繰り広げられた人間模様も
なかなか興味深いものでした。
「なつぞら」に出てくる「川村屋」よりも、ドロドロとしていたようですが、
(黒光さんの娘は画家。中村彝(なかむらつね=近美にエロシェンコの肖像という作品あり)
と恋仲になり、女学生でありながらヌードモデルを務めて大問題になったり。
その中村彝も結局病気で早世してしまうのですが。)
安曇野の地で静かに息づく碌山美術館。
風情があって、私は好きです。