ふと気づけば、Bunkamuraミュージアムのロマンティックロシア展
(Bunkamura30周年記念 国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア展)は
今日で閉幕。
間違いなく、私のなかで今年トップ10に入る展覧会の予感です。
肖像画と風景画はそれぞれに特徴があり、
女性の肖像画の場合、人物の内面を細やかに描き出そうという意思が感じられます。
逆に肉体美は(解説にもあったとおおり)二の次です。
風景画は、もっと薄暗い絵が多いのかと思いきや、
寒い屋外にイーゼルを立てるわけにいかなかったという現実的な理由だけでなく、
淡い光に恋い焦がれ、それを追いかけたような画風が多く感じられます。
それから幻想的な絵画が多いのもロシアならではです。
なぜこんなに素晴らしい作品が印象派ほどに有名でないのか?
偶然1月初旬に2日続けてロシア駐在員の方と飲み会の機会があり、
聞いてみました。
「あの繊細な筆致といい、美への鋭い感性といい、
ロシア人の美的感覚はどこかDNAに埋め込まれているみたい。
フィギュアスケーターのコスチュームしかり、
ボリショイバレエしかり、世界の一級芸術をロシアが生み出したわけは?」
「さらに画家がそれほど有名でないわけはなぜ?」
2人のうちひとりはトレチャコフ美術館に行って
クラムスコイを見てきたらしいので、そちら方面に詳しいのですが、
彼曰く、
バレエなどの芸術があまりに有名で、その陰に隠れているのでしょう、と。
DNAについては2人とも、うーん、と唸っていました。
本当に、あの感性の源はなんなのでしょう。
ロシアの画家といえば以前Bunkamuraで知ったレーピンぐらいしか
知らなかった私ですが、以下雑感。
●イワン・クラムスコイは、花の生物画ですらロマンティックな風景画のよう。
●同じくクラムスコイの「忘れ得ぬ女」は実物を見ると、目元に帽子の影が描かれていて、
それが表情にミステリーを加えている気がします。
●後ろ姿の絵も散見され、背中が物を言う、といった心の内面に注目した絵が独特でした。
●シーシキンの風景が細やかで、豊かな自然館が感じられます。
●レーピンの肖像画は、やはり一級品。
●クルイジツキー「月明かりの僧房」の幻想は、土地からにじみ出るなにか、と思います。
●自画像でイケメン!と感激したのはマコフスキー。素敵な紳士です。
でもやっぱりロシアの大地を題材にした絵に一番惹かれます。
ゆたかな自然の鼓動を会場中で満喫しました。