◆ 存命画家による天井画はジョルジュ・ブラックだけではない!
◆ 香取慎吾の個展がルーブルで9月に開催
先日、1963年に亡くなったキュビズムの先駆者ジョルジュ・ブラックの天井画が
ルーブル美術館内にあることを書きました(ジョルジュ・ブラックの天井画)。
その話をフランス通の友人にしたところ、見たことがないとのこと。
ルーブル美術館には何度も行っているはずの彼女ですら気づかなかったようなので、
今回はブラックよりももっと見つけにくい、天井画のご紹介です。
それがこちら:
2011年に亡くなったアメリカ人画家・彫刻家・写真家のサイ・トゥオンブリーの作品です。
Salle des Bronzes(ブロンズの間)にあります。
2015年に原美術館でトゥオンブリーの個展が開催された際、見に行きましたが、
この天井画とは異なる独特で、ややもするとなぐり書きにも似た抽象画オンパレードでした。
しかしルーブルに飾る絵ということで、古典を踏まえた題材を選んだようです。
青地に浮かぶような円形を見て、
私は”空に浮かぶ古代ギリシャオリンピック円盤投げ競技の円盤”を想起しましたが、
これはコインや盾など、見る者に委ねられているようです。
この天井画には、7人の古代ギリシャ彫刻家の名前がギリシャ文字で
描かれています。
それぞれの名前は:
Polyclitus, Praxiteles, Lysippus, Myron, Phidias, Scopas and Cephisodotus
ポリュクレイトス 、プラクシテレス、リュシッポス、ミュロン、ペイディアス、スコパス 、ケフィソドトス、
たとえば最後の「ケフィソドトス」なら、このように:
ルーブル美術館と言えば古典の逸品の殿堂です。
けれど、存命中の画家によるコンテンポラリーアートの導入も試みられ、
1953年、”ルーブル常設展示の現代アート第一号”になったのが
このジョルジュ・ブラックの天井画なのです。
しかし常設展を飾るコンテンポラリーアートの試みが次になされるのは、
それから50年以上も経ってからのこと。
第2作目として2007年になってやっと
ドイツ人アンゼルム・キーファーの油彩画「Athanor」が壁面に飾られ、
さらに2010年、天井画を完成させたのがサイ・トゥオンブリーでした。
・・・なんてさも通のように書いていますが、実は私自身、
ルーブルには学生旅行以来何度も足を運んでいるのに、
ブラックの天井画の存在を長年知りませんでした。
こうしたコンテンポラリーな作品が常設として置かれていることを知らせてくれたのは、
この本でした。
CREAのルーブル特集。
2013年の夏にこの本と出会い、1週間後には、会社に休暇届を出して、
3週間後にはパリに滞在する自分がいました。
それほど心をかきたてるものがこの本にはありました。
ページのあちこちにポストイットを貼って、もはやこの本はバイブル。
画像も素晴らしく、旅心を誘う本なのです。
先述のサイ・トゥオンブリーの天井画にある名前解読を以下にもいくつか:
スコパス Scopas
プラクシテレス Praxiteles
ポリュクレイトス Polyclitus
今年9月には、元SMAPの香取慎吾さんの初個展が
ルーヴル美術館内シャルル5世ホールで開催されます。
(https://bijutsutecho.com/news/15933/)
香取さんといえば、今年5月の六本木アートナイトで
BMWのラッピングカーを披露されていましたね。
(香取慎吾作ラッピングカー@六本木アートナイト ボディには手形も)。
ルーブル訪問時、私も現代アートの特別展(常設でなく)に遭遇したことがありますが、
片隅で目立たず開催されていることが多かったように思います。
でも古典中心の美術館におけるモダンアートの取り組みは、
ルーブルのみならず、どんどん広まっていると感じます。
事実、カルパッチョの《二人のベネチア婦人》などが置かれている
ヴェネチアのコレール美術館でも体験しました。
古典と現代の融合に向け、時代は変わりつつあるようです。
関連:
ジョルジュ・ブラック展@パナソニック 汐留ミュージアム 感想