◆ ナショナルギャラリーのこの絵で着目すべき点は・・・

 

 

10月7日から上野の森美術館で開催される「怖い絵」展では

ロンドン・ナショナルギャラリー所蔵・ドラローシュ作「ジェーン・グレイの処刑」が

目玉のひとつとなっている。


実はこの絵は私にとって思い出深い一枚。

 

卒業旅行で訪れたナショナルギャラリーで、ギャラリートークに参加し、

その際に選ばれたうちの1枚がこの絵だった。

 

 

 

 

それ以前に日本でギャラリートークに参加したことはなかったが、

美術と英語のヒアリングの勉強の一石二鳥ができる、と思い試しに出てみたのだった。

 

つまり人生初のギャラリートークが英国ナショナルギャラリーだったというわけ。

 

ふたを開ければとても楽しくて、病みつきになり、その後もイギリス旅行、留学の折りに

必ずナショナルギャラリーに行ってトークに参加してきた。

 

 

こちらの美術館のギャラリーツアーは

東京国立近代美術館のガイドツアーのように対話型ではあるけれど、

ボランティアガイドでなくキュレーターによるトークなのでかなり学術的な内容だ。

 

 

さて、この「ジェーン・グレイの処刑」の絵で、キュレーターは冷酷な処刑人の表情

などを指摘しただけでなく、ポイントとして以下の点を挙げていた:

 

 

よく見ると、床がずっと続いているわけではなく、不自然に手前で切れている点だ。

 

(上の画像では見にくいけれど、床に置かれた布が、

手前で=上の画像でいうと下から1㎝弱のところで=折れて垂れ下がっている。)

 

つまり、なにか舞台のような壇上で処刑が行われている構図になっている。

 

 

巧みに目立たない描き方がされているので、すぐにそれとは気づかないのだが、

ひとたびそれに気が付くと、鑑賞者は演劇の舞台を見ている気持ちになる。

 

これが、残酷なジェーン・グレイの運命をよりドラマチックに見せる仕掛けになっている。

 

 

・・・ ということで、あとは実物で、床部分にご注目あれ。

開幕まであと1週間!

 

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