■ 石原裕次郎似のあの神様を照明のもと四方八方から拝見できる最後のチャンス

 

 

東京国立博物館1Fの彫刻コーナーでいつも存在感を示している

十二神将立像は、神奈川県・曹源寺さんからの貸与品。

 

中の一体から出てきた一文の表記から、

制作は12世紀末(あるいは13世紀初頭)であろうとされている。

(神像の1体が、1190-1199年に制作された旨、書かれていた。)

 

作風は運慶派。ダイナミックな躍動感がある。

 

 

 

 

長い間置かれているのでずっとこのまま常設展示かと思ったら、

今年の7月23日が最後で、曹源寺さんにお帰りになるとのこと。

 

今後お寺で拝見するのは可能だとしても、

今のようにしっかりした照明のもと、四方からじっくり

見物するのは難しくなるだろう。

 

 

となると、今ぜひ見ておきたいのは、

中央にすくっと起立する巳の神だ。

 

 

 

 

長年こちらの巳神については、議論がかわされてきた。

 

他の神よりも丈が大きく、何かの象徴ではないか?

巳年に生まれた武将を表現したものではないか?

などなど。

 

そしてこのほど、ある説が有力になってきた。

 

これは1192年に誕生した源実朝を表しているのではないか、と。

 

実朝は巳年生まれではないが、巳の刻に生まれたとされ、

また、生誕時に、この曹源寺が関与していたというのだ。

 

このことから最近の研究報告では、”実朝の無事出生を見届けた

守護神としてこの神像がつくられたのではないか”、とされている。

 

 

確かに、他の神像が滑稽だったり諧謔的だったりするのとは異なり、

この神像はひときわりりしく際立っている。

 

私は石原裕次郎、と呼んでいる。

 

 

 

むろん、そのほかの神像たちも違う意味で注目に値する。

表情やしぐさが、非常にイキイキしている。

 

 

 

いうまでもなく、各神像の頭には干支の動物が配され、

こちらは一目で、午年(うまどし)だとわかる。

 

 

 

 

配置図が展示脇に置かれているので、

すべての干支と照合する作業も楽しかったりする。

 

 

写真撮影OK、明るいもとで表情がくっきりうかがえる、

後ろ側(斜め後ろ)にもまわれて観察できる、

そんなありがたい配慮も、あと数日で終わる。