数年前、雑誌CREAのルーブル特集号を買った。
2ページを割いてシャセリオーの紹介が出ていた。
都美術館で開催された地中海展にシャセリオーのアラブの女の絵が
展示されたせいで、ここまでクローズアップされたようだった。
それを眺めていたら、シャセリオーの絵をもっと見たくなり、
突如有給申請をして、3週間後にパリへ。
昔でいうところのカルトミュゼ、今の名称はパリミュージアムパス6日間を買って
ルーブルに入り浸った。
シャセリオーは2日目に鑑賞。
ありました、ありました。
フランスではこんなにメジャーな画家なんだ、と驚愕した。
日本ではめったに見ることができないというのに。
37歳の若さで亡くなり、作品数もそれほど多くないせいで、
国外の所蔵は少ないようだった。
私が見たかったのはこれ。
「エステルの化粧」。
腕の形が解剖学的にちょっと違和感があるものの、
なんとも独特な妖しい空気感がある絵だった。
これだけ見ていると、ドラクロワやアングルの系列と
すぐには思い浮かばないのだけど、
それらの絵の隣り合わせに展示されていたので
時代的位置づけはそのあたりのようだ。
* 写真はすべてルーブル美術館で撮影。
この絵「水浴のスザンナ」あたりになると
ギュスターブ・モローの絵とみまごうかのよう。
モローがシャセリオーに私淑していた、というのを知ったのは
後の事。
スザンナの水浴場面といえば覗き見するおっさんたちが不可欠。
いましたいました。
食い入るように、身を乗り出していらっしゃいます。
「2人姉妹」の絵は、実際シャセリオーのきょうだいを描いたものだそう。
このあたりの絵は、アカデミズムを感じさせる。
とまあ、あるときはエキゾチックあるいは無国籍、
またある時はモローのような象徴派、
かと思えばアカデミック。
どこか捉えがたい画家だなぁという思いでいた。
そんな矢先日本でシャセリオー展が開催されることになった。
そして、そのどこか中間的な位置づけといった印象は
間違ってはいなかったということに気が付いた。
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シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才 展
場所: 国立西洋美術館
会期: 2017年2月28日(火)~2017年5月28日(日)
開館時間: 午前9時30分~午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分~午後8時
※入館は閉館の30分前まで
※シャセリオー展は土曜日の夜間開館はありません。
休館日: 月曜日(ただし、3月20日、3月27日、5月1日は開館)、3月21日(火)
公式サイト: http://www.tbs.co.jp/chasseriau-ten/