菱田春草さんの作品を紹介します。

明治23年に菱田さんは東京美術学校に入学しました。


そこでは、最初に木版刷りの手本を忠実に模写する「臨画」と呼ばれる授業が行われて、古典的な筆法を学習するそうです。


次に「写生」が行われます。描く対象を正確に写し取る学習がなされます。

そしてこの後に、自らの絵作りを研究する「新按」という授業が持たれているそうです。

本図は梢に佇む小禽を描くものであるが、この「臨画」と「写実」による成果が色濃く現れた作品です。


背景の枝振りなどは狩野派的な強い筆線がみられます。


対して中央の小禽には極めて写実的な筆法が用いられています。

あるいは臨画と写実の後に行われた「新按」の授業における制作物なのでしょうか。

菱田さんの美大生時代の学習活動を伝える作品といえる作品になっています。

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これを学生時代に描くと言うのに驚きがあります。
美術の絵画的なものの授業の始まりとなるのはそういった実技的なことから始まると思うとなんだかすごくいい環境だなと思います。