ご主人優しいですか
そう聞かれると、それはもう、ありえないくらい、と答えている
ただの一度も私に対して声を荒げたことはないし
疲れたといえば肩を揉んでくれて
機嫌が悪いとつぶやけばお茶を入れてくれて
悲しいといえば頭をそっとなでてくれて
まるで妻と言うより妹のように
私が望むものは全て手に入れようとする
わかっているの
もう二度とあんな思いをしたくない
私たち二人の中にそれぞれ巣食う苦い思い出が
貴方を献身的にさせ
私を自分に正直にさせる
前の結婚生活では、
貴方が風邪をひくと自分にうつるからといって
前の奥さんからは家の外に追い出され
家の玄関のドアにチェーンをかけられて
熱があっても家に入れてもらえなかったという貴方
稼いだお金は全部持っていかれるのに前の奥さんにはご飯も作ってもらえなくて
それなのに外食代もほとんどもらえなくて
職場のオフィスの隅で、昼夜二食、安物のカップラーメンだけで命をつないでいた
それもまた、DVだったのでしょう
女性に手を上げることができない貴方はただただ相手にされるがまま
ついに、げっそりやつれた貴方がたまりかねて家を飛び出したのも無理はない
何故大事な家族のはずなのに当たりちらすのか
何故大事な家族のはずなのに苛め抜くのか
夫のストレスを全部受け止めるのが妻の役割で、それが愛情なんだ
そういっては私を苛めた元夫の言葉
毎日苛め抜かれた私はついに心がつぶれた
心がつぶれておかしくなった私を、
まっとうな世界に呼び戻したのが貴方
それ以来、私たちは傷ついた心を抱えたまま二人で歩き始めた
未だに夢にうなされる貴方と
未だに幻に怯える私と
手と手を取り合って、前に向かって歩き始める
きっといつか私たち