もうあれから何年もすぎたけれど
アメリカ南部のフレンチクォーターの街を時折思い出す
まるで砂上の楼閣のように感じた街
 
あやうい陽気さが溢れた街で
風が吹けばろうそくの火が消えるように活気が失われてしまうのではないか
無理に皆笑っているのではないか
そんな落ち着かない気持ちになりました
 
そんなフレンチクォーターで
ムーンウォークと言う小路がありました
ミシシッピ川沿いにある、板葺きの遊歩道でした
そこから川を見ると
川の上を鳥が舞い
暗い川の上を物悲しく鳴いていました
 
辛いこと苦しいこと悲しいこと
そんなものを一瞬でも忘れるために人々は
この街に来て陽気にすごす
かりそめの快楽、かりそめの安堵
夜にはジャズが街にあふれ
若者が嬌声をあげる
若い女性がトップレスで踊り
若い男性がビーズのネックレスを振ってそれを煽る
 
朝には生ごみの匂いが街を包み
ごみをあさるホームレスの他にほとんど人影はない
 
小さなレストランのガンボスープがやけに人間くさかった
泥臭いスープはキャットフィッシュ(なまず)
えびのほうがよかったかな
 
心に残った街の一つです
いつかまた訪れたい街です
 
楽しくてさびしい街、フレンチクォーター