いつしか厳しい冬の風が
春の香りを含んで
幼子の頬をなでて流れていく
 
あははあははあはは
そんなかすかな笑い声さえ聞こえてくるような
軽快な風の音に幼子はきょろきょろをあたりをみわたし
笑い声の正体を探そうとする
 
あ、桜が泣いてる
 
幼子がいとおしそうに桜の木を見上げた
風にまとわりつかれ
花びらを落とす桜の花は
確かに泣いてみえた
 
泣かないで
 
幼子がそうつぶやいた
名残を惜しむように泣きながら今年の桜も散っていく
新緑の春はもう夏への準備を始めている