二宮の涙が、頬を伝って櫻井の腕に落ちる。
涙で濡らした腕は、落ちてくるのに反応し込めていた力を緩めた。
櫻井に酷いと言った二宮は、酷いくらいくじゃぐしゃに涙を溢す。顔が歪んで、声は震えて、そんな自分を隠すみたいに腕で顔を覆っていた。
「にの、こすったら」
「っ、ふ.....ぐす」
二宮の体から離した手で、目を擦る二宮の腕を掴む。こんなにも、弱った二宮を見向きもしなかった事を酷く後悔していた。
食いしばった跡が唇に残っていた。
握りしめた手の跡も、擦った目の跡も、
二宮が、自分を傷つけた跡のシルシ
進んだ道を振り返った。
正しくないという意見を鵜呑みにした。
自分の考えを間違っていると、相談もせず、一人で、勝手に、決めつけていた。
だが、そんな櫻井の目の前にいる二宮は、櫻井のシナリオ通りになんて一つもいかない男だった。
櫻井と離れる事を嫌がって、泣いて、捨てないでと言った。それが、本当は嬉しかった。愛されていると、深く自覚した
結局、二宮のためなんて言った行動は、全部空回りしてしまった。
二宮のためだなんて、そんなものは驕りだった。
「幸せにするって、言ったのに....嘘つき、」
「ごめん、身勝手で」
「ひぐ....っ、今さら、好きとか」
「ごめん、ニノに伝えたくて」
「おれ、ひとりでずっと...っ!」
「ごめん、寂しかったよな」
両腕を掴まれ、隠せずに流れ続ける涙が、喜びを多く含んでいる事を、櫻井はちゃんと自覚は出来ていない。
たった一人の為にここまで必死になってくれる人間など、他にいただろうか。そんなの、自覚したって足りない。
側から見れば弱々しく映る二宮の姿を、櫻井の目だけには力強く映った。
これ以上、求めても良いのだろうか
櫻井の目には、二宮の姿しか映っていない。むしろ視界に二宮がいるなら、満足だと思えるくらいに二宮を求めたい衝動に駆られた。
でも、二宮の瞳に自分が映るごとに
そんな思考は、ヨコシマな願いとして浄化するように消えていった。
『好きだ』
その瞬間その言葉を口に出して言ったのか、櫻井は覚えてなどいない。だがそんなことはどうでも良かった。
両腕を掴んでいた手を離し、今度は正面から二宮を抱きしめる。
それは、『行かなんでほしい』なんて独りよがりな考えでは無くなっていた。
愛してるを交わすためだけの、
二人よがりの抱擁。
ここに来てから今に至るまでに、二宮が櫻井に改まって好きと言った訳でも、復縁したいと言った訳でもない。
ただ抱き締めたいと思ってしたと言われれば、今の抱擁も櫻井の独りよがりなのかもしれない。
だが、櫻井の背中に回って服をしっかりと掴み、離さないと言わんばかりに櫻井の胸に顔を埋める二宮は、独りよがりなんかさせないと言っているようだった。
やらしーのを期待してる方、残念。
やらしーのはまだまだ先なんです
流奈。
