今日は、早目に寝ようかと工房より自室に戻る。それでも、思いたって奥の部屋より縁側を抜けてデッキに出た。満ちた月と真紅の火星の前を揺らぐように雲が流れて、時折虹色のHALOが現れる。月明かりに、1つだけ残った季節外れの濃紫の木蓮、その花弁の縁がビロードのような鈍い光のようなものをはっしていた、
山の下の水を張った田で、蛙がさかんに鳴いている。それとは別に耳の後ろで独白めいた騒めきが聞こえる気がした。
満月に向かう月は、澄んだ大気の中ますますその光りに冴えを見せて、美しい月暈 もかたちをかえながら、時をおいて現れている。ずっと南の夜空を見上げている。薄い膜で隔てられ、ここにある複数の次元のことを思いだした。僅かな素粒子や重力だけが交通しているという。
