話さずともその青年にはアーリィアの言わんとしていることが分かるようだった。
弱点の頭をねらいやすいように反時計回りの動き、アーリィアに狙撃しやすい位置に誘導してくれる。
さらに麻痺弾に切り替えるとティガの背後を取れるように調整してくれた。
麻痺弾LV2は反動が少し大きく隙ができる。
そこを狙われないようにしてくれたのだと思う。
アーリィアは彼の第一印象が今は少し変わっていた。彼は見た目ほど馬鹿ではないらしい。
この調子なら、この後の対処も理解してくれそうだ。
ティガが大きく一瞬のけぞると全身が小刻みに痙攣を起こした。
アーリィアが予測した時間よりかなり早く麻痺症状が出た。
アーリィアが青年の行動に注目する。青年はアーリィアの期待を裏切らなかった。
素早く背後に回り込み尻尾を流れるように太刀で切りつける。鮮血を迸りながら威信腐乱に乱舞していった。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃなにゃにゃぁぁぁぁ」
そのすさまじい迫力を相殺するように青年は気の抜ける雄叫びを上げている。
「ああ、やっぱり」とアーリィアは二つの意味でそう思った。
そして自分も貫通弾を頭部へと有りったけたたき込んだ。顔に手に足に見る見る赤い殺傷ができあがる。
その時、アーリィアの耳に何か引きちぎれるように「ブチン」と音が聞こえた。
その瞬間、ティガが大きくのけぞり、苦し紛れに走りだした。数メートル走るとそこでふさぎこんでいた。
そしてそのちぎれた尾を飛び越えて青年は走りだす。
太刀は背中に背負い、手には円筒系の筒を握り閉めている。
アーリィアも青年の意図を読み取るとすぐに麻酔弾に切り替えて準備を整える。アーリィアの麻酔弾の準備と青年のシビレ罠の順場はほぼ同時だった。
そして間髪遅れてティガが振り向いたところで、罠のスイッチを踏み抜いた。瞬く間に全身を痙攣させた。
すでにスコープで照準を構えていたアーリィアはティガの頭部へ麻酔弾を立て続けに二発解き放った。
ティガは白いもやと一緒に崩れ落ちる。
そのままだらしなく舌をたらして、深い眠りについていた。
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