>>>>>パッチワークその47


 十年来の旧友のように微笑みながらエデンは手招きをした。

「ささ、座って座って。ふふふ」

ベッドの前にある介護用に椅子をポンポンとたたきながら楽しそうにしている。

フィルは寝ているアーリィアの顔を覗き込んでから椅子に腰掛けた。

「じゃ、実行しようか」

「別に私はいいけど。大丈夫、フィルが封印した能力を開放できた人もいたけど」

椅子に座り、足をバタつかせながら昔話をするかのように軽く尋ねた。


 病室の壁にも侵食の痕が現れ始め、熱を加えたバターのように壁に雫が流れ出した。エデンはアトラクションを見るように楽しそうだった。抱えた足がパタパタ音を立てている。

「何百万かも計算したよ。父、いやあいつの呪縛を振りほどき独裁でなく幸せのチャンスを全員が持てる可能性をつくる。そして僕がアーリィアと永遠にいっしょいること。望んだのはそれだけだからね」

エデンは口を押さえて軽くあくびをした。

「あ、忘れてる。私は愛が何か知りたいの。だから地球の生態に関係ない私が協力しているの。生物の感情のコレクションがしたいの」

「覚えているよ。君に108番をゆずったんだ。自分で修正できるだろ」

フィルが人差し指でエデンの額に触れると『108』の文字が浮き上がった。お返しするようにエデンがフィルの額に触れると『109』の文字が浮かびあがる。

「うん、ならいいの。そうじゃないと彗星といっしょにここに流れてきたのが、無駄になるからね」

クスクスと小さく笑うともう一方の手をアーリィアの額にあてた。彼女の額に『66』の文字が浮かび部屋中に眩いで覆われていった。


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