>>>>>パッチワーク その43

 いつもの事だが相手の能力は全く知らされていない。虚無の幻影を相殺もしくは耐性があるのだろうと思う。それも自分で推測して探すしかない。つかんだ相手に幻影の炎を解き放った。室内が赤く染まるほどの光と熱を放出している。それは幻影でもあり、本物でもある。あとは相手次第。

 相手はとっさに両足で僕の無防備の腹部を蹴り、その反動を利用して捕まれた手を振りほどいた。そしてきれいな弧を描いて着地していた。見たところ手には軽いやけどがあるだけで致命傷はおっていなかった。そのことから多分、相殺と耐性の両方を備えているらしい。

 まったく聞かない訳でもないとわかっただけでも少し安心した。効果が薄いなら直接脳にたたき込めばいい、ただそれだけだ。僕も自分の能力が効かないことを想定していろいろ訓練をしている。さきほどから父がせかしている。その心配もわかる。相手も短期戦に持ち込もうとしているらしい。落としたナイフには目もくれず低姿勢で突進をして来た。得意の越スピードで応戦するらしい。

 僕は渾身の一撃を受けるとともに、虚無の力をたたき込めもうと受けて立った。タイミングもいままでの中でも最高の出来のはずだった。相手の体が消えた。喉元に激痛を感じて、そこで初めて相手がスライディングに切り替えたことがわかった。次の反撃に出る前に、電撃のような衝撃が全身をつらぬいた。その遅れが相手の攻撃をまともに食らってしまった。何発連打されたかよく覚えていないが最後は背負い投げでもされたのだろうか。僕が気がつくと二人の立ち一がスタート地点とは入れ替わっていた。僕は咳き込みながらもかろうじて上半身を起し状況を確認した。そして接触してわかったことは相手に触れた瞬間に何かの衝撃が走り、記憶が一部飛ばされた上に思考回路が鈍くなる。戦闘時の接触は僕に圧倒的に不利だった。僕は立ち上がろうと後方に手をついた時に冷たい金属片の感触。

 僕の脳裏に父の声が響く“そいつで破壊しろ!”

その言葉の通り体が勝手に動いた。相手は同じように最初の接触で自分の能力を打ち込んで来た。その瞬間に意識が吹っ飛ぶ僕と父の命令を忠実に守る僕の2つに意識が分かれた。そして忠実な意思を持った僕は奪ったナイフに念を込めて相手の喉へ叩き込んだ。

『はじけろ』

僕の虚無の力がナイフを通して相手に流れる。その念が強ければ強いほどその嘘は現実になる。相手は念をまともに食らって全身から鮮血噴出して倒れた。つけていたオレンジの面も吹き飛んだ。そこに倒れていたのは僕の知っている少女だった。


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