>>>>>パッチワーク その36

 いつの間にかブラウン博士は少女の頭を撫ぜながら深い眠りについていた。再び目覚めたときはすでに日が高く上った昼近くになっていた。そして膝の軽さに少女がそこにいないことに気がつく。今朝は過去に何度も見てきた悪夢を見せられたが、いままでと違いそれほど不快な気分ではなかった。誰かがいるだけでこうも気分が変わるものかと実感している。

 部屋を見渡したが継ぎ接ぎ少女の姿はどこにもいなかった。この施設は外には出られないが施設内はどこでも自由に行き来できる。しかしほとんどが廃墟なため見学しがいはないのだが。以前もきらきらするものを集めるために廃品の山をあさっていたので逆にこの施設少女にとって宝の山かもしれないと思い、ブラウン博士は探すのを止めた。キッチンで遅い朝食をこしらえてアーリィアの病室へ向かうことにする。冷蔵庫にはレトルト食品が隙間なく埋められ食事に困ったことはない。あのゲートキーパーという少年がどこから持ち込むかは博士もしらないが最近急激にシティーが減少していれば大体想像はつく。手早く調理をしてアーリィアの元へ急いだ。

 病室にブラウン博士が到着すると、鍵がすでに開いていた。あわててドアを開け放つと継ぎ接ぎ少女がアーリィアの首をつかんでいる光景が飛び込んできた。

「おい、お前何を……」とそう叫びかけた、そのとき継ぎ接ぎ少女が振り向いてその手を突き出してきた。指先に何かをつかんで博士の目の前に突き出してきた。勢いよく前にでたが拳を突き出されて尻込みして止まっていた。そして少女が手でつかんだ小さな物体が見えた。

「え、蚊?」

「血…吸った……エイヨウたっぷり」

少女が誇らしげに獲物を見せた。そして唖然としている博士の前でそのまま獲物を口の中へ放り込んでしまう。おいしそうに口をモグモグと動かしている。

「うっ、まさか茶色いのもたべないよな」

「茶色いの??…!…アレ血すわない…エイヨウない・・・食べない」

「そっそうか---



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