創作小説「アゲハ」シリーズ公開中! -6ページ目

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



数時間前 斑目探偵事務所

輝人「……終わったぞ」

輝人と炎の話が終わり、事務所の方へと戻ってきた
炎が心配だったのか、日奈子は話しかける

日奈子「炎さん……大丈夫ですか?」

炎「……あぁ」

輝人「帝は間違いなく、死んでることが分かった」

光「なんだと?」

炎から聞いた情報をその場にいる全員に話す
だが思ったより驚いた様子はない

日奈子「…実は今、妃さんと少し話したの。そしたら…」

日奈子も妃と話した内容を輝人と炎に伝える
誰かと一緒だと言うことを知ると、輝人はすぐ1枚の写真を取り出す
そこにはアサギの姿が写っていた

輝人「帝を連れて行ったのは…こいつか?」

妃「…えぇ」

日奈子「ん?…え!?アサギ!?嘘…!」

飛「誰なんだこいつ」

輝人「俺の兄貴だ」

全員「「「「「はぁ!?」」」」」

流石にそれには驚いた
帝を連れて行ったのが、探偵の兄貴だと知ればそれはそうなる

輝人「だが俺はこいつを家族とか兄貴とか思っていねぇよ。血の繋がりはあるけどな」

雪「仲悪い?」

日奈子「仲悪いってレベルでは…」

輝人「んで、聞きたいんだが…あんたは帝を見つけて欲しいと言ったが、見つけたらどーしたいんだ?」

輝人は妃に質問する
わざわざ日本の探偵を、炎の知り合いに仕事を持ってきたと言うことは、見つけた後で何かあるのだろう
行方不明者を探すなら、見つけたら喜ぶとか、伝えたいことがあるとか、そう言うことが目的なのが多い

しかし妃は兄弟達に興味がない
見つけたとしても、喜ぶとかそんなことはしない
それでも探す理由は何なのか、輝人は聞いた

妃「…醜いのよ」

すぐには答えず、少し間があったが、妃の口から答えが出た





帝「汚点……だと?」

妃「えぇ。帝…貴方はとても“綺麗”だったわ。でも今の貴方は…“醜い”わ」

そして現在、妃は帝を見つけた
予想通りアサギと共にいて、ネクロになっていた
その帝が、醜いと言う理由で、薙刀を向ける

アサギ「うーん、君の妹って無表情だけど口調はキツいね。いつもあんななの?」

帝「…興味が湧かないだけだ」

妃「貴方はとても“綺麗”だった。でも、“醜く”なってしまった貴方は…汚点その物よ」

次の瞬間、妃が動き出す
気が付いた時には、薙刀が帝の七星剣に届いていた

妃「…」

帝「お前の言いたい事は分かった、妃。確かに俺はお前の言う通り、汚点かもしれない。だが…今のこの姿の方が、頗る気分が良い」

炎「…!」

帝は七星剣を押し返し、妃を離させる
そのお返しとばかりに、すぐ帝が攻撃を仕掛けた

帝「獣人術“獅子”型 獅子ノ牙」

ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!


その剣の突きは順番に前後に動き、連続打撃となる
実家にいた時は拳だったが、父親の王静の形見である七星剣を使っているため、鋭い突きが妃に襲いかかる
ところが

ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!

妃「…」

妃は刃先が見えているのか、冷静に避けている
受けようものなら、薙刀で流している

輝人「おおお…美人な上になかなかやるな、お前のねーちゃん」

炎「感心してる場合か、あの2人の戦いは…」


アサギ「おーい、こっち見な?」

輝人「!」

ドォンッ!と輝人と炎の前に、大きな斧が振り落とされた
それは斧と言うより、ギターだ
アサギが取り出したのだ

アサギ「俺の悪事を止めるんでしょ?だったらそこの兄妹喧嘩見てないで、俺と遊ばない?w」

輝人「そういやそうだった」

炎「輝人…!」

輝人「お前兄貴が心配ならあっちに混ざってくれば?勝てるとは思えないけどw」

炎「…お前も、今日こそそこのクズ野郎倒せよ?」

輝人はアサギと、炎は帝と妃の戦いに入る

アサギ「なんか今日負ける気しないなぁ、弟達が束になっても勝てない事分かってるからかなぁ?w」

輝人「弟を馬鹿にすると、痛い目に遭うって教えてやるよバカ兄貴(-_-#」

帝「炎、お前に興味など無い。消えろ」

炎「フンッ、これが“龍の一族”の長男だった男だと思うと、笑えるな」

いや、戦いと言うより兄弟喧嘩だ…!

妃(…帝、貴方は本当に“綺麗”だった。なのに、どうして自分から醜くなってしまったの…?)