最近は日本との往き帰りの飛行機の中での映画を楽しんでいる。個人用のモニターがある。
いつでも好きな時に始める事が出来るし、トイレに行きたくなれば一時停止しておくことも可能だ。プログラムがあって、月替りで14~5本の映画が用意されている。

01.02.[映画の他にテレビのニュースやビデオ番組、ゲーム、音楽や寄席といったプログラムがぎっしり詰った全日空のスカイ・チャンネル3月号と5月号]
その内の5本くらいはアニメなど子供向けだが、その他は面白そうな映画がぎっしりと詰っている。
日本の航空会社、全日空なので日本語の字幕スーパーがある。或いは日本語に吹き替えてある場合もある。微妙な言い回しや複雑なストーリーでも良く理解出来て面白い。
パリから成田まで12時間足らずを寝る間を惜しんで映画を楽しんでいる。食事中でもヘッドフォンを手放さない。
今回の帰国でも往きに5本、帰りに5本半を観てしまった。
じつはこの10年あまり映画館に足を運んだことがなかった。少なくともポルトガルに来てからは皆無だ。
昔、ニューヨークにいた頃は毎週1度は1ドル映画館を楽しんでいた。
1ドル映画館はマンハッタンに当時4軒程あり、「ヴィレッジ・ヴォイス」の広告を見てはそのいずれかに通っていた。封切りから少し遅れた映画を2本立てで演るのだ。入れ替えなしだし案外と空いていて、いい映画もやった。それ程、場末という感じでもなく、夏は冷房、冬は暖房だしピッツアのスライスを持ち込んで、ティファニーで朝食ではないけれど、安上がりの昼食は1ドル映画館だった。1ドル映画館の一つ「プレイボーイシアター」はティファニーのある五番街からも目と鼻の先にあった。
ストックホルムに住んでいた時は「シネマクラブ」に入会していた。幾ばくかの月会費を払う。週に一度は古い名画を観るためにシネマクラブ館に通うことを楽しみにしていた。その時にイタリアやフランスの名画と黒澤や小津安二郎の殆どを観た。
日本でも大学生の時は「労映」というのに入っていた。労音の映画版である。毎月5~6本のプログラムが送られてくる。その中から内容と日時を考慮して確か3本までを選んで観ることができた。だからその頃は毎月3本の古い名画を観ていた勘定になる。
映画といえば、まだテレビもない時代。僕が生まれ育った街にも幾つかの映画館があった。大映、東映、東宝、松竹、日活などといった映画会社があって、それぞれが配給する映画館を持っていたのだと思う。その他に洋画専門館もあった。
友人の家にはその近所の映画館から定期的に招待券が届いていた。中学生の頃だったと思うが、その友人のご相伴に預かって、石原裕次郎などを観に行った記憶がある。友人の家にはたくさんの映画館の看板が貼り付けてあった。看板の場所代として招待券が届くのだ。
僕の育った家も通りに面した角家で目立つ所にあったので、映画館から「看板を付けさせて貰えないか?」と言ってきたことがあるが、父は頑として受け付けなかったのを覚えている。
ポルトガルに来てからはもっぱらお茶の間映画だ。
ポルトガルテレビは4っつのチャンネルが競って映画をやる。土日の午後は各局めじろおしに良い映画をやるのでけっこう観ている。平日もやっているが、深夜遅いのでそれはあまり観ない。
でもテレビはやはりテレビでしかなく、観た直後には感激はするものの長くは続かない。右から左であまり頭に残らないのだ。
その点、映画館で観た名画は何十年経ってもその時の感激は残っているのだから大したものだ。名画だけとは限らない。友人のご相伴で観た裕次郎のワンシーンは今もはっきりと脳裏に焼き付いている。
ポルトガルテレビは吹き替えはなしだから、ハリウッドやイギリス映画なら英語で、ポルトガル語の字幕スーパーが入る。どうしても込み入った内容の映画は残念ながらもう一つ細部が理解できない。細部どころかストーリーさえも解らない。
フランス映画ならフランス語そのままにポルトガル語スーパーだし、イタリア映画はイタリア語でポルトガル語字幕だ。必死でポルトガル語字幕の文字を追っているのだが、やはり良く解らない。
時たまスウェーデン映画などもやる。スウェーデン語の響きを懐かしんでいたりする。
ハリウッド映画にしては少しタッチが違うな、と思っていたら、オーストラリアやカナダ映画であったりする。東欧やアジア、アフリカの映画も時たまする。
もちろんポルトガルの古い映画もやる。これは古いイタリア映画に似ていなくもないが、一味違ってまた面白い。ビデオがあればコレクションしたいところだが、ビデオを持っていない。残念ながらDVDモニターもない。
日本では決してやらない様な映画に出会えることもあるから、貴重といえば貴重なのかも知れない。でもいずれにしろテレビはテレビだ。
たまにいい映画を観て、これは是非日本語の字幕付きでもう一度じっくりと観てみたいと思う時がある。でも日本に帰国した時は忙しいし、第一その映画などどこでもやっていない。ビデオ店に行けばあるのかもしれないけれどもビデオを借りることまではしない。
最近はインターネットで映画をダウンロードできるらしいが、我が家のパソコンでそんなことをやってしまったら、それこそフリーズどころか爆発もしかねない。
ポルトガルテレビでは、たまーに日本映画もやる。もちろん日本語だから完全に理解できる筈だ。それが不思議な事にポルトガル語の字幕文字を追っていたりして苦笑いする。
さて飛行機での話だ。
今回の帰国の往復で観た映画を列挙してみようと思う。プログラムの中からどれから順に観ていくかは悩むところだ。
最後の「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」は最後まで観ることができなくて、惜しいところ途中で客室乗務員からヘッドフォンを取り上げられてしまった。
ジョニー・キャッシュとジューン・カーターの伝記的物語だが、ただの音楽伝記に留まらず、人間関係や時代背景などなかなか見応えのある映画に仕上がっている。
まあまあ面白い映画で、もう少し早く観るべきであったと後悔している。
パリ-成田
『ハリーポッターと炎のゴブレット』(Harry Potter and the goblet of fire)139分。2005年/アメリカ/監督:マイク・ニューウェル/出演:ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン ロビー・コルトレーン レイフ・ファインズ マイケル・ガンボン
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(Back to the future)115分。1985年/アメリカ/監督:ロバート・ゼメキス/出演:マイケル・J・フォックス クリストファー・ロイド リー・トンプソン
『ドゥーマ』(Duma)101分。2005年/アメリカ/監督:キャロル・バラード/出演:アレキサンダー・ミハルトス イーモン・ウォーカー、キャンベル・スコット ホープ・デイビス
『男はつらいよ 幸福の青い鳥』(Tora-san's bluebird fantasy)102分。1986年/松竹/監督:山田洋次/出演:渥美清 倍賞千恵子 志穂美悦子 長渕剛 有森也美 三崎千恵子 前田吟 吉岡秀隆
『ドリーマー』(Dreamer:Inspired) by a true story 98分。2005年/アメリカ/監督:ジョン・ゲイティンス出演:カート・ラッセル ダコタ・ファニング クリス・クリストファーソン エリザベス・シュー
成田-パリ
『プロデューサーズ』(The producers)134分。2005年/アメリカ/監督:スーザン・ストローマン出演:ネイサン・レイン マシュー・ブロデリック ユマ・サーマン ウィル・フェレル
『ナイロビの蜂』(The constant gardener)121分。2005年/イギリス/監督:フェルナンド・メイレレス/出演:レイフ・ファインズ レイチェル・ワイズ ユベール・クンデ ダニー・ヒューストン
『アンフィニッシュド・ライフ』(An unfinished life)108分。2005年/アメリカ/監督:ラッセ・ハルストレム/出演:ジェニファー・ロペス ロバート・レッドフォード、モーガン・フリーマン
『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』(Tora-san goes religious?)105分。1983年/松竹/監督:山田洋次/出演:渥美清 倍賞千恵子 竹下景子 中井貴一 杉田かおる 三崎千恵子 前田吟 笠智衆
『迷い婚 すべての迷える女性たちへ』(Rumor has it)97分。2005年/アメリカ/監督:ロブ・ライナー/出演:ジェニファー・アニストン マーク・ラファロ シャーリー・マクレーン ケビン・コスナー
『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』(Walk the line)135分。2005年/アメリカ/監督:ジェームズ・マンゴールド/出演:ホアキン・フェニックス リース・ウィザースプーン、ジェニファー・グッドウィン
テレビとはまた違うが飛行機の中での映画も飛行機の中での映画だ。映画館の感動は得られない。今後何十年先にそのワンシーンが脳裏に焼き付いているとは思えない。
今ならまだ時間もそれ程経っていないから、ひとつひとつの映画について、少しの感想なら書けるかもしれないが、長くなるのでここでは止めてデータだけに留めておこうと思う。
元々退屈しのぎに観る映画だが、観てしまってから観なくても良かったと思う映画もある。第一にいっときに観過ぎだ。いっきに5本は幾らなんでも多すぎる。
VIT
ここまで書いたところで、本日「トロイア国際映画祭」のプログラムが僕宛に送られてきました。
03.[トロイア国際映画祭のプログラム表紙]
これのプログラムが送られてきたのは初めてのことです。
実は今までもトロイア国際映画祭が毎年セトゥーバルで催されていることは知っていました。でも終わってしまってから「何々が大賞を取った」などといったニュースを聞いても、始まる前はいつどこでなにをやっているのか?全く情報がありませんでした。以前には日本の映画も大賞をとったこともあったそうです。
プログラムを見てみると6月2日から11日までの10日間です。その中には短編も含まれていますが、何と222本もの映画を上映するようです。
今年は残念ながら日本映画のエントリーはない様ですが、ポルトガルは勿論、スペイン、フランス、ベルギー、オランダ、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、ロシア、ポーランド、チェコ、ハンガリー、ボスニア、クロアチア、スロヴェニア、リトアニア、アメリカ、ドイツ、イタリア、ギリシャ、イスラエル、イランそれにブラジルやインド、タジキスタン、ヴェトナム、モンゴル、オーストラリア、イギリス、アイルランド、アルバニア、レバノン、チュニジア、グアテマラ、アルゼンチン、プエルト・リコなどと幅広い出品で、なかでも北欧とインドからの出品が多い様です。
カンヌ映画祭ほど有名ではありませんが、トロイアも随分と古く、22年も前から続いている国際映画祭なのです。
せっかくわが町である映画祭ですから、プログラムを吟味して一度くらいは観に行っても良いかなと思っています。VIT
(この文は2006年6月号『ポルトガルの画帖』の中の『端布れキャンバスVITの独り言』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルの画帖』も見られなくなるとの事ですので、このブログに少しずつ移して行こうと思っています。)