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弦楽器にはバイオリン属やヴィオール属などの場合、胴体は膨らみがある。
これをバウツと称して、始点から0,中央にかけてXミリ、終点で0というような表記をしている。
古楽器ではとくにヤコブシュタイナーの工房で中央の盛り上がりが強い、釣鐘状の楽器が見られる。
肥満のぶんだけ音の伝わり方はぼーっとしていて長閑な感じがする。
初期のアマティ作品はかなり寸胴で肥満型をしていて微笑ましく、音も長閑なそのものだ。
これにくらべるとストラディバリウス, ガルネリ作品はなだらかで洗練されたデザインになっており、音の立ち上がりは鋭い。
胴体の膨らみは、デザインと音のこだわりにあるかないかで法則的な決まりはない。
作者の意図がその膨らみ(バウツ)をデザインするといってもいいだろう。
バイオリンについては幾分はストラディバリウスの影響がつよいので、大半はなだらかが一般的な楽器の形状だろう。
ところで、ヴィオール属はストラドのような洗練された膨らみはみられない。
比較的に釣り鐘の膨らみや、なだらかな形状もありさまざまで、音は牧歌的なものだ。
要するに船の形状にも似ていて、古風な船底は膨らみがあり、現代ではシャープが目立つ、と例えることができるかもしれない。
構造力学的に製作アプローチをとるか、またはサウンド重視でデザインするかによって、楽器の膨らみが決まるといってもいいだろう。
著名なバイオリン工房や製作学校などは、工房出身の先生の好みでデザインが伝承されているようだ。
弦楽器を新作するにはバイツをあまり意識はせずに、むしろどのようなサウンドの楽器にするべきかイメージしながらデザインするほうが得策といえるかもしれない。
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