ドニゼッティのオペラ 備忘録
次の次に観るオペラ







備忘録m(_ _)m







Roberto Devereux
(作曲ドニゼッティ)
初演
1837年10月29日 ナポリ・サンカルロ劇場
登場人物
エリザベッタ(イングランド女王エリザベス1世、S)/ロベルト・デヴリュー(その寵臣、エセックス伯爵、T)/サラ(ノッティングハム公爵夫人、エリザベッタの女官、MS)/ノッティングハム公爵(ロベルトの友人でサラの夫、Br)/セシル卿(エリザベッタの部下、T)/その他
あらすじ
1幕
ロベルト・デヴリューはエリザベッタの寵臣だったが、独断で停戦協定を結んだ上、反乱を立てて反逆罪に問われている。かつてロベルトの恋人だったサラは女王の命令でノッティングハム公爵と結婚したのだが、ヘンリー2世の愛人の本を読み、立場を自分と比べて悲嘆にくれている。エリザベッタが登場し、彼女にロベルトに謁見を許したことを話し、もしもロベルトが誠意ある態度をとってくれるのであれば、許す気持ちがあること、彼への愛が生きがいになっていることを話す。しかし、ロベルトと謁見した彼女は彼の態度に失望させられ、死刑を確定しようとする。ロベルトの友人ノッティングハム公爵は彼をはげました上、どうやら妻のサラが何か悩みを抱いているようでやつれているという自分の悩みを打ち明け、ロベルトは心乱される。
サラの元にロベルトがやってきて、ノッティグハム伯爵と結婚したことを責める。サラは女王の命令でしたことであると弁明し、逆に女王からもらった指輪をしていることを責められる。ロベルトは女王からもらった指輪を、サラは青いショールを交換して別れる。ロベルトは逃亡するつもりなのである。
2幕
ノッティングハムの弁護にも関わらず、ロベルトは死刑が確定されたとセシル卿が報告する。ロベルトが逮捕された時、青いショールが発見されたと報告される。友人の処刑に反対しながらも、女王に死刑判決書のサインを求める役務を負っているノッテイングハム公爵は女王の裏切りの証拠に青いショールが発見されたと知って愕然とする。その青いショールは妻のものだと知っていたのである。伯爵は青いショールに関する弁明を拒否して沈黙を通す。女王は死刑判決書にサインする。
3幕
サラは獄中のロベルトからの「女王に指輪を返して忠誠を思い出させて欲しい」という手紙を読んでいるが、ノッティングハム公爵は取り上げてしまう。サラは夫に身の潔白を訴えるが、信じてもらえず、監禁されてしまう。
ロベルトはサラが上手に女王にとりなしてくれ、死刑ではなくて、ノッティングハム公爵の剣による名誉ある死を望んでいる。しかし、ローリー卿が現れ、斬首台へ連れて行く。
女王は自分の決定を後悔し、ロベルトの救済の方法を考えている。サラがロベルトの指輪を返しにきて、本当のことを告げる。だが、女王が中止させるには遅すぎた。ノッティングハムが、死刑が済んだことを報告しに来たのである。夫婦を下がらせた後、一人になった女王は孤独に苦しみ、王位をスコットランド王のジェイムスに譲ると言って絶望にかられる。
****************************
「ロベルト・デヴリュー」という題名ですが、主役はエリザベッタだと思われ、プリマドンナ・オペラと見なして問題ないと思います。「アンナ・ボレーナ」「マリア・スチュアルダ」と並ぶドニゼッティの「三大チューダー朝女王物」です。恋と政治の駆け引きに揺れる生涯独身を通した女王の晩年の物語で、音楽もイングランドの宮廷に相応しく、派手で聞き応えがあります。タイトル・ロールのロベルト・デヴリューは軽率さで罪を着せられ、最後になって身の潔白を伝えようとする情けない人物のように感じます。せいぜい、問題のショールの色が青だという所がサラとの関係がプラトニックなものだと主張させているのでしょうか。
エセックス伯は実在の人物で、エリザベスの晩年の寵臣でありながら、驕りの気から女王に剣を向けて反逆罪で処刑された実在の人物です。女王は若い頃、レスター伯ロバート・ダドリー(この人は「マリア・スチュアルダ」やロッシーニの「イングランド女王エリザベッタ」にも登場しています)と恋仲でしたが、彼は既婚者で妻が事故死したため、女王は悪い噂を恐れて結婚までには至りませんでした。レスターはその後、レティス・ノールズと再婚しましたが、彼女の連れ子がエセックス伯ロバート・デヴリューでした。つまり、エセックス伯はレスター伯の義理の子という関係だったのです。かつて愛した人を処刑したというのは、父親のヘンリー8世と同じ宿命だったのでしょうか?宿敵のメアリー・スチュアートが恋のために王位を失ったので、エリザベスは冷静で公私混同しない人物のように言われがちですが、レスターがレティスと結婚したときは激怒して二人をロンドン塔に入れようとしたこともあったし、ヒステリー気味になることもあったようです。
コロラトゥーラ・ソプラノには珍しい老け役です。女王なので、他のドニゼッティの狂乱物のようなはかなげさもなく、ドラマチックな表現力も求められそうです。彼女の肖像はどれもゴテゴテに派手で女王であることを顕示させますが、最後には鬘を脱いで半分狂乱に陥ります。その対比が印象的です。