物珍しい景色に目を回しながら早歩きで歩道を行き、地図を参考に中華街に至る。
私と連れを出迎えたのは、華々しい門を境に色とりどりの雑多な店と人で溢れかえる、チャイニーズタウン。
妖しげな看板、店員、商品、その間をすり抜け、唯一の目的である肉まん屋を探す。
連れは桃まんと肉まん、私は肉まんだけを買い、集合場所である中華街パーキングを目指した。
バスとそれに群がる高専生を見つけた時は、ほっと胸を撫で下ろした。
座席に深くもたれ、冷めかかった堅い肉まんを頬張る。今度来る時は、別のお店で、お腹が空いているときに買おうと思いながら…。
時間が無いため早く通り過ぎた街だったが、日本にはこんな場所もあるのかと、異次元に迷い込んだ彼のようなエキセントリックな体験ができたのだった。
可笑しくも貴重な時間を過ごした横浜を離れ、バスは海老名サービスエリアへと進む。
サービスエリアでは、家族へのお土産よりもミッフィーのストラップに釣られてなっちゃんを買ってしまった。
帰りのバスの中では、クラスの大半の人たちの希望により、実写版ドラゴンボールが放映されることに…。
A.Roseaは興味が無いので、キャスケットを深く被ってiPodを聴きながら寝入る。
だが、映画が衝撃のラストを迎えたときには、高専生達が大きくどよめき抗議の声を次々に挙げていたため、私も目覚めてテレビ画面を確認せざるを得なくなってしまっていた。
東名高速道路は、集中工事のため、重度の渋滞。
外は暗く、早く着いてくれと誰しもが願っている。自主通学の人は帰宅が遅れてしまうし、寮生は点呼や夜の学園祭に向けての活動があるため、時間の遅れはできるだけ最小にして欲しかったのだ。
東名を抜け、やっと見覚えのある景色が車窓の闇の中に浮かんでくる。
学校の駐車場にバスが入ったのは、帰校予定時刻より30分以上過ぎた時間だった。
荷物を背負い、バスガイドさんと運転手さんにお礼を言ってバスを降りると、冷えた空気と秋の夜の匂いが学生達を包んだ。
短くも濃く、普段の一日の何倍の長さにも感じられた遠足は終わり、私たちは再び日常の世界へと戻って来たのだった。
最初は何がなんだか分からなかったし、対して期待もしていなかったが、だからこそか、貴重な経験、滅多に無い非日常と言う大きな収穫を得ることができたのだと思う。
この研修旅行を計画してくれた、奇なる誰かに、ささやかな感謝を。
横浜、楽しかった。また行ってみたい。