コンクリートの堤防、砂浜に積み上げられたテトラポット。

灰色の曇り空、くすんだ色の青い海。

無機質な世界に、迷い込んだかのよう。

堤防と砂浜に挟まれた道路を歩いていると、

そんな気分になったの。

生き物は私だけ、有機物が自分以外存在しない世界に、

私という人間だけが、存在している。

潮風が髪に絡む。

空気と、海と、雨が降り出しそうな曇天の匂いが混ざって。

iPodに曲をいっぱい詰め込んで、

聴きながらお散歩しようと思っていたのだけれど、

耳殻に寄せては返す潮騒に気づいてしまったら、

もったいなくて。

自然に聞こえてくる、波の音。

それは海の鼓動。

あるいは、原始の地球に溢れた音。

普遍的で、飽きなくて。

潮騒と潮風と、寒の戻りのやや冷たい空気に包まれて。

歩くこと1時間。

ある地点まで行って返って、

4キロほど。

帰りに、ふとアスファルトが明るくなって、

目を上げたら、

雲間から淡く雲を染める太陽の光。

海の方に視線を向けると、

青い海の上に、

ちょうど太陽があると思われるその下だけ、

光に照らされて白く輝いていた。

それはとても鮮烈な風景だった。

色彩に溢れているわけでも、美しいものの寄せ集めでもないが、

ただ

自然の見せる造形

この世に一つしか無い

一瞬の一枚。

それは

奇跡にも似た

煌めきだった気がした。


神様はもういないけれど、

そこには確かに、

何かが舞い降りたのだと。

それだけ

信じられる気がしたわ。


時間があれば、また来たいなぁなんて。

心が癒される、体を解きほぐす、潮風。

彼に教えてしまうのはもったいないくらい、

私だけが知っている、世界の奇跡。

いい地元に恵まれましたの。
幼稚園の年長、つまりは5歳の時からの付き合い。

毎朝一緒に小学校に通ったり、家に遊びにいったり、

家族ぐるみで仲良くしてた私の幼なじみに、

彼女ができたらしい。

メールで嬉々と報告してきた。

ふーん、よかったわねぇ、って感じ。

意外、かな? わりと。

だってね、昔から私彼のこと知っているし、

幼なじみに大切な人ができるのって、不思議な感覚。

しかも遠距離恋愛。栃木ですって。すごぉーい。

なかなか会えないんだろうなって、

でも、メールと電話だけでも充実できるって、

実は幸せなんじゃないかしら。

で、その彼が惚気まくってて。

可愛げがあるかと思いきや、

死ぬほど大事だ、なんて

なんかゾクッとしちゃうわよね。

本気なんだなあって。

ちょっと羨ましかったの。

幸せになってほしいな。

私が携帯を買ったら、
彼に毎晩電話をしよう。
気に入ったものがあったら、
すぐに写真を撮って教えちゃう。

 私が彼の家の近くに住んでいたら、
 きっと毎日遊びに行く。
 お部屋に朝から上がり込んで、
 自分の家みたいに、寛ぐの。

  私が彼と同棲したら、 
  洗面所のコップには2本の歯ブラシ。
  ご飯と買い物はかわりばんこ。
  洗濯物は照れくさいな。

   私が彼と結婚したら、
   私は彼のためだけのグラタンを作って、 
   帰りを待っている。
   わくわく、切ない夕方の香り。

    私が彼の子供を産んだら、
    何よりも愛を注いで育てる。
    私たちが繋がった証。
    きっと彼のように、きれいな顔立ちの。

     私が年を取ったら、
     彼と私は、お互いの腰を揉みっこ。
     縁側、ひなたぼっこ、ひざ枕。
     平穏で安らかな愛の日々。

      私がおばあさんになったら、
      彼は人の良いおじいさん。
      手を繋いでお散歩。
      一緒にいられるだけで、幸せなの。

       私が死んだら、
       彼は誰よりも激しく悲しむ。
       彼が死んだら、
       そんな世界で私は生きていけない。

        私と彼は違う体。
        だから繋がれるのだけれど、
        いつの日か魂まで、
        寄り添いたい。

         私を一人にしないで。
         私もあなたを一人にしないから。
         きっとさいごの日は、
         私たち一緒にいて

         ひとつになる