発酵乳・腸内細菌の科学:研究の最前線

発酵乳・腸内細菌の科学:研究の最前線

乳酸菌、腸内細菌叢の働きが、”ここまでわかった”、"ここまでしかわかっていない”と言うことをお伝えしていきたいと思います。
 

論文を読みやすくする翻訳文の工夫


1)目次をつけています。長文の論文をすべて読み通すのは疲れますから、目次から興味のある項目を選んで、クリックすれはその項目を読めるようにしています。

2)原論文では繰り返し出てくる用語は略語で表記していますが、翻訳文ではどこから読んでもわかりやすいよいうに、略語の表記を廃しすべて元の用語で表記しています。但し、略語が巷間に慣用されているか、あるいは今後慣用されると思われる用語は略語のまま記載しています。

3)重要な用語はカッコ内の訳者注によって簡単な説明をしています。

4) 菌名は正確を期するために英語表記にしていますが、初めて読む方にもわかりやすくするために、論文の内容によってはカタカナ表記に変更しています。原則としてオリジナル論文は英語表記に、レビューはカタカナ表記にしています。




   糞便微生物移植により腸内細菌叢が回復する

糞便微生物移植は、特に抗菌薬耐性患者における再発性または難治性のクロストリディオイデス・ディフィシル感染症の治療におけるゴールドスタンダードとなっています。

 

肥満、2型糖尿病、アレルギー、自己免疫疾患などの慢性非感染性疾患は、遺伝的要因と環境要因(食事など)および腸内細菌叢の相互作用によって悪化し、世界的に大きな健康負担となっています。 腸内細菌叢は、出生から成人期まで宿主の免疫系および代謝系に影響を与える、複雑かつ動的な微生物群集です。腸内細菌叢の組成の不均衡であるディスバイオシスは、軽度の炎症、インスリン抵抗性、代謝・免疫疾患の発症に関与していることが示唆されています。 この論文では、著者らは慢性非感染性疾患における腸内細菌叢の重要な役割を概説し、特に制御性T細胞(注:

制御性T細胞(Regulatory T cell: Treg)は、免疫の「ブレーキ役」として働くリンパ球の1種です。免疫が自分の体を攻撃してしまうのを防いだり、過剰な炎症を抑えたりする重要な役割を担っており、2025年には発見者である大阪大学の坂口志文特任教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで大きな注目を集めました)の誘導やTh1/Th2バランス(注:Th1/Th2バランスとは、免疫の司令塔でるヘルパーT細胞の2つのタイプ(Th1とTh2)が体内で保っている均衡のことです。このバランスが崩れると、さまざまな疾患のリスクが高まります)を含む免疫系との相互作用に重点を置いています。さらに、出産様式、食事、および異物による腸内細菌叢の構成と機能への影響についても考察しています。さらにプレバイオティクス、プロバイオティクス、シンバイオティクス、糞便細菌叢移植といった腸内細菌叢を標的とした介入が、腸内生態系を調節し、疾患リスクを軽減する可能性を強調しています。

 

原論文:腸内細菌叢:あらゆる病気の起源か、それとも万能薬か?免疫・代謝疾患、栄養、そして腸内細菌叢に基づく介入

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