子供も頃の私は外見も性格もまるで男の子。
いつも遊び相手は男の子ばかりで、部屋の中で遊ぶことは滅多になく、外を駆けずり回って遊んでいました。
夕方近くになると陽も沈み始め、あたりが薄暗くなってくる時刻になるとどこからともなく夕食の支度の香りがたちこめてきました。
それは、煮物の匂いであったり、お味噌汁の匂いであったり。
大人になった今でも、夕日が沈む頃に住宅街の中を歩いていると、その当時の場面が一瞬のうちに蘇り、何とも言えない幸福感に満たされます。
香りと記憶は非常に密接な関係があります。
人間の記憶は五感と共にさまざまな場面で記憶されますが、五感の中でも特に嗅覚は幼い時期ほど頭脳にインプットされやすいと言われます。
大人になった今でも、香りをきっかけに子供の頃の思い出が蘇る理由は、まさにそこにあるのかも。
自分自身でさえすっかり忘れ去ってしまっていたことが、香りをきっかけに突然その当時の景色や感覚が蘇って来るこのデジャブ的な現象は、私のとっては決して不快なことではなく、むしろ心地良い瞬間です。
やはり魔法の香りの玉手箱をひとつでも多く持っている人の方が、幸福であるように私は思います。
日常生活のさまざまな場面で香りを取り入れていくことは、魔法の香りの玉手箱をひとつずつ増やしていくことにつながるのではと感じています。