こんにちは。
ブログにご訪問いただき、ありがとうございます。
東京北区のアロマテラピーサロン&スクール「アロマベーネ」かわせゆうこ です。
富士フィルム 和光純薬さんのホームページなのですが、これはメモして保存しておきたい内容です。
少し解説を加えますと、異性体というのは、分子式が同じで構造が異なる化合物のことをいいます。
構造が異なると、生体の受容体との結合がマッチするかしないかの違いができますので、薬理作用などの性質は異なる場合があります。
異性体には次のような種類があります。
幾何異性体
幾何異性体は、炭素-炭素の二重結合を軸とした置換基の位置による違いで、同じ側にあるのがシス、反対側にあるのがトランスとなります。(シス型の構造のものをシス体、トランス型の構造のものをトランス体と呼びます)
ネロールとゲラニオールは異性体で、ネロールはcis体、ゲラニオールはtrans体で、cis体のほうが柔らかい香りになります。
天然の不飽和脂肪酸(二重結合を含む脂肪酸)は、通常cis体で存在しています。
trans脂肪酸は、人工的に水素添加することなどで作られるもので、取り過ぎると生活習慣病のリスクを高めると言われています。
光学異性体
炭素には、結合の手が4本ありますが、4つの結合の手すべてに違う原子団が結合している炭素原子のことを不斉(ふせい)炭素原子(orキラル元素)といいます。
不斉炭素原子では、原子団の位置により2種類の形の分子ができます。
この場合、互いを鏡に映したような形になり、鏡面を見るように対象なのですが、決して重ね合わせることができません。
構造式が同一であるにもかかわらず立体的には重ね合わせることのできない異性体を光学異性体(optical isomer)、あるいは鏡像異性体(enantiomer)とよびます。
光学異性体の一方をL体(-)といい、もう一方をD体(+)といいます。
両者が等量混在する状態をラセミ体といいます。
光学異性体どうしの性質はとても似ており、融点、沸点、密度などほとんどの物理的性質は同じで、化学反応に対する化学的性質も同じです。
ただ、旋光性や、味やニオイなどの生理作用が異なります。
旋光性とは、光の偏光面を回転させる性質です。
旋光度:右まわり(時計回り) がD体(+)
左まわり(反時計回り)がL体(-)
柑橘系の精油に含まれるリモネンはD体、ハッカ類に含まれるリモネンはL体です。(※ラセミ体はテレビン油に含まれます。)
光学異性体をもつ化合物を、通常の方法で化学合成した場合、かつてはL体とD体を等しく含む等量混合物(「ラセミ体」)しかできませんでした。
天然物ではその種固有の割合になります。
これは精油の偽和を見分ける一つのめやすになっていました。
しかし近年、光学異性体のL体とD体の一方だけを合成できる手法(不斉合成、「ふせい ごうせい」)が確立しました。
メントールは、天然のものはすべてL体で、D体のメントールにはミント特有のすっとした香気と清涼な味がありません。
そのため原材料の無駄をなくすためにL-メントールのみを生成することが求められました。
世界で初めてこれに成功したのが、野依良治博士らが高砂香料工業との産学協同の研究で、特殊な触媒(BINAP(バイナップ)触媒)を用いた生成法で、1983年にL-メントールの工業的合成に成功しました。
この研究により、野依博士は、2001年のノーベル化学賞を受賞しました。(※アメリカのバリー・シャープレスとの共同受賞)
歯磨き粉などに広く使われているメントールの香りにこんな背景があると知ると興味深いですね。
今日も笑顔の一日になりますように。
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