現在、新型コロナウィルスが流行中ですが、 中世ヨーロッパでペストが流行した時には、ウィルスという考えはなく、悪い空気を吸い込むことで病気にかかると考えられていました。
 
 疫病除けとして、ハーブや樹脂などを焚いたり、また、「ポマンダー」として持ち歩きました。
 
 ポマンダーとはフランス語の「ポム・ダンブル」、琥珀のリンゴという意味です。
もともとは、琥珀(アンバーグリス)※ を粉末にしてボール状に整形したものでした。
その後、金銀などで装飾された穴の開いた容器に、ハーブやスパイスなど香りを詰めたものを香水、疫病除け、また厄除けのお守りとして、首やベルト、ガードルなどに吊り下げて、アクセサリーのように携帯していました。


ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作
クラリッサ・ストロッツィの肖像

 貴族の少女が腰からポマンダーを下げている

 

 ※琥珀(アンバーグリス)
 アンバーグリス または 龍涎香(リュウゼンコウ)
 マッコウクジラの腸内に発生する結石で、全てのマッコウクジラにあるわけではありません。主に口から吐き出されたもので、発見されるのは、海を漂う、海岸に打ち寄せられるなど、とても希少な固体です。

 バニラのような香り。
 天然樹脂の琥珀とは別物です。

 研究によると、目の前の人との親密性を高め、ストレスを軽減させるなど、リラックス作用があるということです。
(株式会社カネボウ化粧品 2013年)

 

 ここから発展し、庶民にも広がったものが、「フルーツポマンダー」です。
リンゴ、オレンジなどのフルーツにクローブを挿します。
現代では、クリスマスに幸せをもたらす飾りとして作り継がれています。
小さいものなら、クリスマスツリーのオーナメントとしても使用できます。
 

 

【フルーツポマンダーの作り方】
 用意するもの 今回はスーパーで手に入りやすいもので作りましょう!

 オレンジ(他にはレモン、ユズ、カボスなど)
 クローブ(ホール)
 シナモン(パウダー)
  他には オールスパイス、カルダモンなどをブレンドしても可
 つまようじ(他には竹串などとがったものならOK)
 マスキングテープ(セロテープなどでも可)
 ポリ袋
 キッチンペーパー

1.フルーツとクローブを用意
  ポマンダー由来のリンゴ(ポム)も良いのですが、日本のリンゴは大きいので
 小さめのものが作りやすいと思います。

 ユズ、スダチ、レモンなどでも作るとこができます。

 今回は小さめオレンジを使います。

 

 2.マスキングテープを巻く
  十字にマスキングテープを巻きます。
  ここはクローブを挿さないところで、吊り下げるためにリボンをかける位置になります。

  少し縮むことも考え、使う予定のリボンより、やや広めにイメージします。

 

 3.クローブを挿す
  つまようじの尖った方で穴をあけ、つまようじの後ろで穴を広げると挿しやすくなります。
  乾燥すると、フルーツが少し縮むので、間隔を詰めすぎないように。
  穴をあけて、クローブを挿します。

  頭の部分だけ出して、奥まで差し込んでいきます。

 

 4.シナモンをまぶす
   マスキングテープは外します。

 ポリ袋にクローブを挿したフルーツを入れ、シナモンパウダー(他にブレンドしても可)を全体にまぶします。

 

 

 5.乾燥させる

 キッチンペーパー、ガーゼなどに包んで風通しの良いところで乾燥させます。

 1カ月ほどで、一回り小さくなり、水分が抜けて軽くなりました。

 

 あけておいたところにリボンをかけて装飾します。

 クローブの挿し方をデザインして、星形やハート型、斜めなどにしてもステキです。

 

 

 本来なら、クリスマスに向けて温度が低く、乾燥する季節に作るのが良いのですが、新型コロナウィルスが流行しているので、今作り方をご紹介しました。

 秋になったら、クリスマス用に是非作ってみてください。