聞き込みの最中に草むらを動くものを発見した。野良猫だ。警戒心むきだしでこちらの様子をじっと見ている。
可愛いから撫でたいけど、今動くとダッシュで逃げられるのは確実。ゆっくりと腰を落としていく。
ジリジリと猫に近づく。猫はまだじっとこちらを見ている。手を伸ばせば届く距離まで近づくとしばらく様子を伺う。
猫がちょっと姿勢を低くして匂いを嗅ぐような仕草をした。俺の伸ばした指先に鼻先を近づける。
「やっと認めてくれたのかい?」
そっと猫を抱くとゆっくりと撫でる。気まぐれな猫だが、あまり敵意は感じないようで、腕の中でリラックスしているようだ。
ニャア
気持ちよさそうに撫でられていた猫が頭を起こす。
ドックの足音が近づいてきたのを聞き分けたようだ。猫を元の場所に戻すと1度だけ振り返って走り去っていった。
「お前、猫に聞き込みしてたの?」
ドックの声は優しく温かい。さっきの猫の気持ちがわかるようだ。
「ええ。成果はありませんでしたけど。」
ドックは俺の事を猫みたいだって言うけど、そうかなぁ?ならあなたはいい飼い主なのかもね。