冬の寒い一日。エアコンがないと凍えそうだ。やはり文明の利器は必要だと思う。
でも、ときどきこたつがあるといいなと思う時がある。まだ両親のいた頃に3人でよくこたつで話をしていた。俺にとって幸せな家族の象徴なのだろう。
以前、話の弾みでこたつの話をしたことがあったが、すっかり忘れていた。
ある日ドックが大きな荷物が届くと言い残して外出した。家のことをしながら待っていると確かに大きな荷物が届いた。なんだろう?
そんなに重くはなかったので、ドックの部屋まで運んでおいた。
「ただいま〜。」
しばらくしてドックが帰ってきたので、荷物が届いていることを伝えると、にこにこしながら頷いた。
「やっと届いたよ。」
そして、そのまま部屋で何やらゴソゴソしている感じ。しばらくすると部屋から顔を出して俺を呼んだ。
「ちょっと、ジプシー。」
どうしたのだろうとドックの部屋をのぞくと、部屋の中にこたつが設置されているじゃないか。
「あ!」
「どう?俺からのプレゼント。」
ドックはさっそくこたつに入って俺にも入るように手招きしている。こたつの一角に座って足を伸ばす。ドックとの距離が近い。なんだか気恥ずかしくてコーヒーでも取りに行こうかと立ちあがりかけたところで手を掴まれた。
「どうした?こたつが好きだって言ってたから買ってみたんだけど、気に入らなかったか?」
「そんなわけないです。よく覚えてましたね。俺の話。」
「そりゃ、大好きなお前の話を聞き逃すわけないだろ?」
いやいや、よく聞き流してますよね。ドックは。
でも、ものすごく嬉しい。今年の冬はドックとこたつに入っていろんな話がしたいな。
「なにか飲み物でも取ってきます。」
「待って……」
掴んだ手をグイッと引き寄せるドックに身体はよろけた。気づくとドックの腕の中に抱かれていた。
「ちょっと……」
焦る俺にドックはウィンクして言った。
「いいんじゃない?こたつで抱き合うのも。」
もう、ドックはそればっかりじゃないか。でも幸せな感じがして素直に身体を預けた。