今年に変わって数時間。なかなか寝かせてくれなかったドックが隣で寝息を立てている。

もう今日になるが、元旦は俺が出勤日になっている。少し気だるい身体を動かして冷蔵庫からビールを取り出す。
こんなに幸せな1年を過ごしたのはいつ以来だろう。全てはドックのお陰だ。
ビールを飲みながら今年を振り返る。どのシーンにもドックが笑っている。
ただ1度怒った顔を見せたことがあったな。俺がドックにふさわしくないと思い別れを告げた時のことだ。
ドックの幸せを俺が邪魔してるんじゃないかと思って身を引こうとしていた。
でも、ドックは俺のいない人生は考えられないと言ってくれた。その一言が俺に勇気をくれた。今まで一人で生きていくと思っていた人生がガラッと変わった。

「ありがとう。」

ぽつりと呟く。まさか返事があるとは思っていなくて心臓が跳ね上がった。

「どういたしまして。」
「ドック、起きてたんですか?」

焦った自分を隠すように質問系で答える。

背後に回ったドックが俺を抱きしめてくれる。その温もりに全てを預けたくなってしまう。

「今年はお前と出会えたことが1番の収穫だったよ。ありがとう。」
「そんな。俺なんかを好きでいてくれてありがとうございます。」

本心をさらけ出す。普段は絶対に言えない言葉をつむぎ出す。酔ってるからいいよね。

ドックの唇が近づいてきて目を閉じる。
快感が身体を駆け巡る。
あぁ。俺はドックのことを好きなんだな。

「さぁ、体が冷えるからベッドに戻ろう。」

ドックの言葉をきっかけに部屋へ戻る。
この年が素敵な年になりそうな気がした。


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