今日は久しぶりの焼肉。ドックと二人で来るのは初めてかもしれない。
「カルビ、タン塩、ハラミ、シロ、っと……」
ドックが肉を注文するのを聞いている。見事に肉ばっかりだな。
「ライス大、キムチ、カクテキ、……」
よく食べるな〜。感心しながら見ていると、そろそろ注文が終わりに近づいたよう。
「とりあえず以上で。」
先に頼んでいたビールが届いた。
「じゃ、乾杯。」
そういや、外で飲むのも久しぶりだな。家から歩いてこられる店だから飲んでも大丈夫。土曜の夜だから明日は寝坊しても大丈夫だし、リラックスして飲もう。
「久しぶりだな。外食するの。」
「そうですね。」
何気ない会話をしながらビールを空ける。美味いよな。
注文した肉が次々と運ばれてきた。
「まずはタン塩からな。」
焼肉奉行のドックの言う通りにしていれば間違いはない。味の薄いものから順番に指示してくれる。
「やっぱり焼肉にはご飯だよな。」
本当に美味しそうに食べるな、ドックは。俺はカクテキが好きなので、ご飯とカクテキを食べながら肉が食べ頃になるのを待つ。
注文した肉があらかた来た頃に、ドックがメニューを見出す。まだまだドックの胃袋は物足りないようだ。
俺は、タバコに火をつけて少し休憩をすることにする。ビールも飲まないと。
ドックは大学生並みの食欲だな。
「お前、もう休憩かよ。もっと食べないと体力つかないぞ。」
いや、ドック。あなたが食べ過ぎなんですよ。しかも体を動かすのが好きな人だから体型が維持できるのがすごい。
「そういえば、ドック。焼肉を食べているカップルはエッチしてるって話がありましたけど、あれって本当なんですかね。」
「さぁ、どうだろうな。俺は女の子とは焼肉来たことないなぁ。お前は?」
「俺もないですよ。まず焼肉屋はほとんど来たことないです。」
そう、友人もほとんどいない俺は焼肉屋は縁のない店のひとつだ。職場の人間と来ることもほとんどなかったし。
そう、まだ食べたいものがあった。
「石焼ビビンパと……」
「クッパお願いします。」
焼肉の〆にはクッパだろう。これだけは欠かせられない。
最後に主張した俺にドックが驚いてるよ。そりゃ、俺にも譲れないものがあるのさ。
お腹がいっぱいになった俺たちは帰り道を腹ごなしと言って歩いて帰る。
あぁ、それにしても焼肉美味しかったな。また行きましょうね。ドック!