最初に節税方法の肝を言いますと、公的年金等から源泉徴収された税額より納税すべき税額が多くなってもその差額を確定申告して納税する必要はありません。これは公的年金受給者の確定申告不要制度によるものです。ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下でその全部が源泉徴収の対象、且つ公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下という条件があります。また、確定申告はしなくても市町村に住民税の申告をする必要があります。

 

確定申告不要制度の説明は >>こちら

 

確定申告書

 

実際に極端な具体例を見てみましょう。控除対象となる配偶者がおらず障害者にも該当しないのに勘違いで控除対象配偶者がいて夫婦とも障害者だと扶養控除等申告書に記載して日本年金機構に提出したため、源泉徴収税額が大幅に少なくなっています。尚、配偶者は実際に障害者なのですが、自分で確定申告して障害者控除を受けています。なので本人が配偶者の障害者控除を受けると二重に控除を受けることになってしまいます。

 

源泉徴収票
公的年金等の源泉徴収票

 

この源泉徴収票に基づいて確定申告書の第一表を作成し、税額を計算してみましょう。

 

収入金額の欄

収入金額欄

 

収入金額から年金控除を差し引いて所得金額を計算します。

3,5105,300 x 0.75 - 275,000 = 2,358,975

所得金額の欄
所得金額

 

所得から差し引かれる金額を計算します。配偶者控除と障害者控除はありません。

所得控除額の欄

 

課税される所得金額は

2,358,975 - 830,,000 ≒ 1,528,000

になります。所得税の税率は5%です。

税金の計算

正しい税額は源泉徴収された税額より 52,000円も多くなってしまいました。でも、これを追加納税しなくてもいいのです。

もう一度、公的年金受給者の確定申告不要制度の説明を読んでみてください。

 

確定申告不要制度の説明は >>こちら

 

この説明では、(医療費控除など各種控除を受けられる場合に)所得税の還付を受けるための確定申告書を提出することができるという記述はあります。しかし逆に、家族が扶養から外れたなどの理由で納税すべき税額が源泉徴収税額を超えてしまった場合の記述はありません。この場合は確定申告しなさいという記述が省略されたのでしょうか? いいえ、この場合も確定申告は不要だから記述がないのです。後々このことが税務署に知られても納税の義務はないし延滞税も取られません。ならば、納税すべき税額が源泉徴収税額を超えた場合も確定申告は不要だと明確に記述してもよさそうなものです。国税庁はこれをひた隠しに隠したいのでしょう。尚、こういう場合に差額を追加納税するために確定申告すると、税務署は何も言わずにサクっと受理します。受理されてしまえば必ず差額を納税しないといけません。

 

以上のことは、私が税務署に電話して確認したことです。所得税法に基づいて申告不要になっているとのことです。

 

年末に翌年の公的年金の源泉徴収税額を計算するために日本年金機構に提出する扶養控除等申告書は、翌年に家族がいくら稼ぐかわからず扶養対象か決めかねる場合は迷わず控除対象扶養家族に記入しましょう。障害者に該当するがわからない場合も障害者にしておきましょう。

 

尚、明らかに扶養でない、または障害者でないとわかっていて扶養、障害者と記入した場合は、いったいどうなるのかわかりかねます (^^)

 

確定申告はしなくても、前年に扶養か障害者かは確定しているのでそれに基づいて市町村に住民税の申告をする必要があります。