『いかにして人が高い世を知るにいたるか』より/シュタイナー
今日はルドルフ・シュタイナーの『いかにして人が高い世を知るにいたるか』という書物から、お話をします。この書の始まりの部分、抜粋します。ーー条件どの人においても、高い世についての知を稼ぐ技量がまどろんでいる。神秘化、グノーシス派、テオゾーフはつねづねにこころと精神の世について語ってきた。その世があることは、物質の目に見え、物質の手で触れる世があるごとくであるというようにである。それを聞く人はいつなりともこう言っていい。すなわち、その人が語ることは、わたしのうちに今はまだまどろんでいる力を育むにおいて、わたしも経験することができる。要はそのような技量を、みずからのうちに、どう育み始めるかである。そのための手引きを与えることができるのは、すでにそのような力を自らのうちにもつ人こそである。ーーシュタイナーの本は少しむずかしいので簡単に説明すると、「高い世界(精神的な世界)を知る能力は、一部の特別な人だけに与えられているものではなく、すべての人の中に眠っている。ただし、今はまだ眠っているので、それを自分で目覚めさせ、鍛えていく必要がある。そのための方法を、すでにその能力を発達させた人が示すことができる」というようなことが書いてあります。最初に、「どの人においても、高い世についての知を稼ぐ技量がまどろんでいる。」と言っています。シュタイナーは、「私には見えないけれど、霊的な世界が存在するから、それを信じなさい」と言っているわけではありません。そうではなくて、「あなた自身の中に、それを知覚・認識できる能力が眠っている」と言っています。「霊的世界がある」ものを「だから信じる」ということではなく、「自分の中に認識する能力が眠っている」のだから、「その能力を発達させれば、自分自身で確かめられる」ということです。たとえば、音楽を知らない人に「この和音の微妙な違いを聴き分けて」と言っても、最初は分からないですよね。でも訓練して耳が育つと、以前には聞き取れなかった違いが聞こえるようになることは、何かしらの経験を通して経験したことがあるのではないでしょうか。それと同じように、「精神的な世界も、認識するための器官・能力を育てれば、自分自身で経験できる」と、シュタイナーは言っています。香り師で行っていることは、そういった感覚を育てて、起こすような作業でもあったりします。今はまだ眠っている部分が多い(からノイズに負ける)意志力で何かを頑張ってどうにかするのではなく、この眠っている部分を覚醒させたいのですね。もう少し書きます。ーー次に、「その世があることは、物質の目に見え、物質の手で触れる世があるごとくである」と言っています。これは、「私たちが普段認識している物質世界だけが世界の全部ではない」ということです。これもいつも話しているかな。私たちは普通、目で見る、耳で聞く、手で触る、という感覚器官を通して世界を知ります。けれど、シュタイナーは、精神的な世界にも、それに対応する認識能力があると考えます。だから、目に見えない世界を知るということは、単純な信仰みたいなことではなく、その世界に対応する認識能力の問題として扱っています。そして、シュタイナーや霊的な力を持つ人がすごいからそれが認識できるわけではなく、どの人にも眠っているものがあるということです。ただし、それを鍛えなければならない。「要はそのような技量を、みずからのうちに、どう育み始めるかである。」それは、「あなた自身が、それを認識できるようになるには、どうしたらいいのか」という問いであり、この書物の『いかにして人が高い世を知るにいたるか』というタイトルそのものが重要なんですね。この書物は、難しく書いてあるので非常に読みにくいのですが、要は高い目に見えない世界についての説明書などではなく、「人間が自分自身の認識能力をどう発達させ、そこへ至るのか」ということが書かれた実践書なのであります。ということで、シュタイナーは、「あなた自身の認識能力を育てて、自分で確かめなさい」とおっしゃっているので、ぜひみなさんにも日々、ご自身の中に眠る素晴らしい世界と力にアクセスできるよう、過ごして欲しいなぁと思います。もう少し身近な言葉で端的に表現するなら、愛を思い出す。これで良いと思います。皆がそれぞれの中のすばらしい力を思い出すことができますように。引き続きよろしくお願いします