昨日読み終えた「ゴールデンタイム」
 著者は山田宗樹、内容は”続・嫌われ松子の一生”という副題のとおり。

 この中で、芝居のリアリティを構成する重要な要素が座長の言葉として語られる。

 それは、俳優が使い分ける3種類の声の方向と力、つまり声のベクトル

 1 俳優が一人でしゃべる独白
 2 相手役に話しかける会話
 3 相手役に話しかけたが届かないセリフ

 この3つ目が特に難しい
 相手役に向けて話すのだが、力が弱く、届く前に落ちてしまうセリフ

 この技術がしっかりしていればどんな荒唐無稽な物語でも観客を引き込むことができるという挿話

 
 現実の世界は、発した主の意に反して結果として上の3種類に分類されたセリフが織りなす世界なのかもしれない。
 届いて欲しい言葉が届かなかったり、聞かれたくない話が聞こえてしまったり・・・

 なにはともあれ、雑踏の中で特定の一人にだけ届くようなセリフを吐けたら、これはほんとに凄い技術だろう。
 もっとも、仮に相手に届いて振り向かせたとして、その先は技術では補えきれない世界であることには変わりはないんだろうけど(苦笑)