子供の頃買ってもらったグリム童話集の中の「小人の靴屋」でモヤッとした思い出を消化したく。

割と素直に物語を受け入れる方だったとは思うんですけど、これは何かずっと引っかかるものがあった覚えがあります。

 

小人の靴屋を一言でおさらいしますと、

「正直者の靴屋の老夫婦が小人の力を借りて倒産寸前の店を建て直し、お礼に小人に服をプレゼントするお話」です。

 

資金も底をつき、靴一足分の革しか残ってない進退極まった状況から物語が始まるのですが、それまでの経緯が冒頭に「自分たちのせいじゃないけど店が傾いていった」とあり。

「それでも神様を恨む事なく暮らしていた」と続いてましたので、このあたりに「正直者は救われる」というテーマの伏線が窺えます。

 

で、その最後の革を残して眠りにつき翌朝

素晴らしい1足の靴(女の子用)が出来上がっていた、という展開に続くんですけど

 

アリクイ子供心に思いました。

「おじいさんのよりいいくつなんちゃう?」

 

店が傾いたのは自分たちのせいではなかったらしいですが、そこをさっぴいても客が離れていくあたり、おじいさん、靴職人としてはイマイチだったのかなと。

靴の仕上がりにおじいさんが驚嘆する場面で、少なくともデザインや完成度はおじいさんのより上なんじゃないかと思った記憶があります。

 

その素晴らしい靴はすぐに買い手がつき、売上で2足分の革を仕入れることができたおじいさん。

神に感謝の祈りを捧げて眠りにつくと、次の朝にはこれまた洒脱な2足の紳士靴ができており。

この2足もお金持ちの紳士に目に留まり、即座に買い上げられる展開に。

 

仕入れた革が翌朝にはハイクオリティな靴に化ける現象は続き、インフルエンサー紳士の口コミも相まって(うろ覚え)おじいさんの靴屋は人気店になり、事業建て直しに見事成功。

 

ここで欲を出せばさらなる売上アップもあり得たかも知れませんが、そこは正直者の面目躍如。

妻であるおばあさんと「靴を作ってるのは小人」という事実を突き止め、商売繁盛のお礼に小人に服と靴をプレゼントします。

小人たちは大喜びで服を着込み、大喜びで歌い踊りながら消えていってめでたしめでたし。

 

アリクイ子供心に思いました。

「このさきまたおじいさんがくつつくるん?またうれんようになるんちゃう?」

 

そう。

飛ぶように売れたのはあくまで「小人が作った靴」であって、おじいさんの靴じゃないんですよ。

小人作の靴にお客がついてたのであれば、おじいさんが小人と同じクオリティかそれ以上を維持できなければ、再び客離れが起こるんじゃないかと。

 

読み終えて老夫婦の行く末を若干案じたお話でした。

「かみさまをしんじたら、ええことがあるんや。」と納得して終われればよかったんだけど。

 

こびとのくつや

おじいさんが小人の靴から靴作りの技術を学んでくれてるのを願うばかり。

 

めでたしめでたしの続きを想像してモヤッとした物語、ありますか?