森保まどかさんとおぼろ君の物語
⚠︎実際のエピソード➕妄想!!
彼女が感動の復活劇を遂げた総選挙当日、彼はやってきた。
その日、彼は人生のどん底にいた。
生まれて間もなく、母親と離れ離れになってしまった。
遊びに夢中になっている間に迷ってしまったのか。
それとも、母親はもうこの世に存在していないのか。
ひとりぼっちになってしまった彼。
寂しい怖い辛い。
そして追い討ちをかけるように、そんな彼をカラスが襲う。
どうやら右目をやられてしまったらしい。
視界がゆがんでしまっている。
それでもカラスは攻撃を辞めない。
どうしてこんなに辛くて痛い思いをしなきゃいけないの?
僕が何かしたってゆうの?
彼は人生のどん底にいた。
そしてゆっくりと意識を閉ざしていこうとした時。
カラスのうるさい鳴き声がやんでいた。
代わりに温もりに包まれる彼。
その日、森保家はそわそわとした緊張感に包まれていた。
テレビ越しに泣き出しそうな娘を見守る。
速報では圏外。
もうすでに娘の目標順位も超えている。
世間では、諦めの声が漏れ出していた頃であろう。
男性司会は31位の発表を始める。
その時、ふいに娘の名前が呼ばれた。
諦めムードになっていた世間は、驚きと興奮で一体になっていた。
正直諦めていた!凄い!
復活だ!やはり凄かった!
森保家が幸福に包まれる。
その日、彼は森保家にやってきた。
黒くて、小さくて、毛並みもぼさぼさ、右目はカラスに攻撃されてケガをしている。
正直誰もが惹かれる容姿ではなかったと自分でも思う。
あの日、どん底にいた僕は何故か森保家に拾われた。
森保家のご長男が僕を助けてくれたのだ。
ごしごし泡で洗われて、怖〜い病院というところにも何回も連れていかれた。
まぁ、僕は紳士だからこんなこともへっちゃらなのだ。
薄ぼんやりとしていた視界もよくなってきたようだ。
森保家のみんなは優しい顔をしている。
しかし、1人だけ僕に不慣れなお嬢さんがいるようだ。
いつも遠目に僕を眺めては、ケータイというもので写真を撮っている。
僕は紳士なので、怯えているお嬢さんには無理には近づかないのさ。
あんなに暑かったのに、最近少し肌寒くなってきた。
ツヤツヤになった僕の毛並みも、そろそろ冬毛に変わる頃だろうか。
あのお嬢さんは徐々に僕に慣れてきたようだ。
最近は長崎や福岡でお仕事が決まったようで、それを嬉しそうに報告してくる。
確かに、あのデパートのおっきな看板は実によかった。
…しかし、本物はもっと美しいのだと僕は知っている。
この猫なで声で喋る彼女を皆は知っているだろうか?
鼻先でキスできるのも僕だけなんだ。
彼女が感動の復活劇を遂げた総選挙当日、彼はやってきた。
その日、彼は人生のどん底にいた。
彼は今幸せだと言う。
不幸だった彼は今、幸福の招き猫になった。
森保まどかさんとおぼろ君の物語