よくバイオリンってすごくお金がかかるんでしょーと言われるんですけど、私の所感としては一部正解、一部不正解です。
最もメジャーな音楽系習い事であるピアノと比較すると、一度買ったらずっと使えるピアノに対して、体の成長に合わせて買い替えなきゃいけないバイオリンは「お金がかかる」と思われるのかもしれないですね。
でもすごーく小さな頃(例えば2歳)からやっている子でも1/16サイズから、多くの子は1/10や1/8サイズあたりからのスタートなので、フルサイズになるまでの買い替えは4〜5回。
ちなみに、うちの息子は4歳3ヶ月からバイオリンを始めましたが、体格が良かったこともあり1/4サイズからスタート。
その後1/2に買い替え、今は3/4サイズを使っています。
この先、フルサイズに買い替えたとして、トータルの買い替えは3回となります。
で、まぁその分数バイオリンっていうのも、もちろんピンキリなのですが…
一般的な考え方として、フルサイズになる時には良いバイオリンを買いましょう、それまでは量産型のものでも十分ですよ、というような考え方があるように思います。
つまり、そんなに高いバイオリンを買う必要もも持つ必要もありません。
私たちも最初に持たせたのは、たぶん日本円にして3万円くらい(もう記憶が曖昧)の安価なバイオリンでした。
バイオリンを習う上で、毎月のレッスンフィーはかかるものの、初期のイニシャルコストはバイオリン代くらいなので、そう考えると、他のスポーツや習い事のランニングコストの方が高いんじゃないかなーなんて思います。(道具代、ユニフォーム代、衣装代…)
でも「お高い」イメージも正解なのは、ピンキリのキリにキリがないからなんですねー。
よく知られているのは高級バイオリンの代名詞ストラディバリウス。
何億円もするものもありますね。
まぁそういうのを弾いているのは、スポンサーのついているプロなので、我々アマチュアバイオリンキッズ界隈には関係ないのですが、それでもフルサイズになる時に、どんな予算で何を選ぶかはかなり重要になってきます。
いや、もっというなら、コンクールに出るような子たちなら、3/4サイズ(だいたい8〜10才くらいで使っているサイズ)でも、良いものを持っている印象です(もちろん中には量産バイオリンで闘いきる子もいます!)
やはり、良いバイオリンは音の深さや大きさ、響き方が違うので…
同じ曲を同じ弾き方で弾いても、音色が変わってくるわけですから、コンクール勢は3/4から良い楽器をもたせたいわけです。
じゃあそのバイオリンはどうやって見つけるか…というと、色んな方法がありますが
一般的なのは
「師事してる先生からの紹介で購入orレンタル」が多いように思います。
もちろん、自分たちで、楽器店に行き探してくると言う方もたくさんいます。(でもこれは買い手の目利き耳利きが必要)
ちなみに私の記憶が確かなら、娘さんがバイオリンの上手な某セレブタレントう⚪︎さんは、イタリアの工房に行き、娘のためのバイオリンをオーダーしていましたね。さすが、もう世界が違います。
いずれの方法にせよ、「良いバイオリン」と出会うのは「運命」ですね。
必要な時に予算感や求めるクオリティなど条件の揃ったものと出会えるかどうかの「運命」。
そんな我が子も、身長145cmを超えそろそろ「フルサイズ」を探し始める頃になりました。
息子もそろそろ?なんて、ワクワクしていて、ちょうど日本に一時帰国するし、10才の誕生日プレゼントに?なんて話をしていました。
(ちなみにレンタルも含めて検討していました)
そんなときに、とある方から
「うちに3/4バイオリンで、すごく良い音の出るものがあるんだけど、よかったら使わない?」
と声をかけてもらいました。
そのご家庭のお子様たちが使っていたもので、その当時バイオリンの先生がたくさんのお店を周り、ものすごい掘り出しものとして見つけてきてくれたものらしいです。
そのバイオリンで数々のコンペに出て、良い成績をおさめてきたという努力と栄光の詰まったものの様でもあります。
ちょうど、そろそろ買い替えかなーなんていう時期にお声がけいただいたわけですが、長男は今も3/4を使っているので、サイズアップにはなりません。
ですが、早くからフルサイズにする理由の一つとしては、やはり「大きい音が出る」という点があるので、3/4でも大きな音(響く音)が出るならそれで十分なんです。
それに、早くから大きなバイオリンを持つことで、ポスチャーが崩れてしまうこともあるので、急いでフルサイズへ移行する必要はそんなにないと思っています。
つまり…
サイズアップしようと思ってたけど、ヘタに妥協してフルを選ぶくらいなら、絶対にこの良音で実績のあるバイオリンの方がいいんじゃない?と心境が変わりました。
が、しかし、人様の、それも良いバイオリンをお借りするなんて…
趣味:恐縮 特技:遠慮の日本人オブ日本人なわたしは、大大大大大躊躇ですよ。
でも…恐縮ながら…
…これってバイオリンがやってきたんじゃないの??
と、おこがましくもそんな風に捉えたわけです。
長男はタイでバイオリンを始めて、2年前にオーストラリアにやってきました。
ツテもコネもない中で、教えてくれる先生を探すことすら一苦労でした。
こんな中で、バイオリン探しの運命なんて期待できないだろうと諦めていたし、ましてや誰かが貸してくれるなんて起こり得ないことだと思っていました。
でも、本当に運命的な出会いと展開で、新しいバイオリンが我々のもとにやってこようとしているんです。
年末にちょろっとそんな話をいただき、でもそれ以上の予定も何もないまま新年を迎え…
リップサービスだったかも、やっぱり一晩寝たら人に貸すのはなぁーと思っているかもしれない…ここで私が連絡するなんて絶対図々しいやっと思われる…このままそっとしておこうか…なんて、一人で深く鬱々考えていたんですが…
絶対にこれは運命!
もはや私が息子のバイオリンのためにできる最後のことかもしれない(もう譜面見ても何も教えられないし…)
と思って、勇気振り絞り、先方にご連絡。
そしてこの度、やってきました。
「新しい」年季の入ったバイオリン。
私が家に持って帰ってきたらバイオリンを見て、もともとこれを弾いていた人が誰なのか知っている長男は目を白黒させて、開けたり閉めたりを繰り返すこと数回。
「弾いていい??」と聞いてきました。
そして、初めて出す新しいバイオリンの音…
一音目で、うわーーーと声が出ます。
これまで弾いていたバイオリンとは全然違う、深くて響く音。
想定外だったのは、同じ3/4サイズなのですが、比べると新しいバイオリンの方が少し大きく、イメージとしては3/4と7/8の間のような、いずれにせよ特殊なサイズのもののような印象です。
これはフルサイズへのサイズアップ前に弾くにはベスト。
サイズが少し大きくなったことと、やはり楽器によって弦の幅も多少変わるなど、感覚が違うので、まだしばらく弾きこみが必要ですが、きっと素晴らしい相棒になってくれると思います。
去年のタームの最後に持ち帰ったこれ。
Coat of Armsというらしいのですが、「自分とは」を表すものを描いて作り上げるものです。
息子はY3の学年終わりで描いたものと、Y4で描いたものと2枚持って帰ってきたのですが、
左のがオーストラリア1年目のY3、右が2年目Y4ですね。
1年目のCoat of Armsは
1段目: チェス 天体観測
2段目:将棋 算数
3段目:ニュース ハンバーガー
(たしかに、オーストラリア一年目、よくハンバーガー食べたけど)
そしてオーストラリア2年目
1段目:算数(これは変わらず) あらしお(授業でアボリジナルの住居を作ったやつ)
2段目:オーケストラ QYO
3段目:音楽 指揮者
ほぼ、全部バイオリン関連〜
正直、びっくりしました。
4歳の誕生日にバイオリン買って、そこから練習を始め6年。
最初の頃は私も手探りで、毎日10分でいいからやろうねとやり始めました。
続けるうちに、だんだん難しくなってきたり、毎日の練習が嫌になってきたりで、練習中にケンカになることも増えて、何度泣かしたことか。
イヤイヤやらせても意味がないと思いつつも、イヤイヤでも継続させると何か見えてくるものもあるかもしれない。
苦節6年。
ようやく「辞めたい」と聞かなくなりました。
よくよく考えたら、たぶん去年は一回も言ってないかも!(とはいえ、あいも変わらずいい加減でお粗末な練習の日も多いんだけど)
彼にとったら、学内&学外のオーケストラに入ったことが本当に良かったみたいで、友達と弾く、仲間と弾くということで、音楽の楽しみを見出せたみたい。
英語もまだまだな彼にとったら、唯一自分が活躍できる居場所でもあるしね。
彼のそんなバイオリンへの想いが新しい相棒を呼び寄せたのかなーなんて思ったり。
今年は、運命の相棒とともに、もっともっと楽しく、人の心に届くような音楽が奏でられますように。