『月拢雁西归(月攏雁西歸)The Cross Dressed Union』
2025年 11月~ 中国 全24話
出演
南辰筱(南辰篠)→刘也(劉也)
芮祤→谭晓凡(譚曉凡)
譚曉凡演じる芮祤がめちゃくちゃいい。
ネタバレ 第1話~第8話。
男として育てられた男装女子へ女として育てられた女装男子が嫁ぐところから始まり、見知った顔面もいない、挿入曲も使い回しで短劇の雰囲気だが、ザ・癒しという感覚を味わっている。面白いー。
まず、男女逆で婚姻まで達成するのが新しい笑
芮祤は文官の家に生まれ、そう出世も出来なかった父親の願望を叶えるため、世間的には男として太子の伴讀となり、今では宰相のような役割を得ている。
一方、武家に生まれた南辰篠は、武家が力を持つことを恐れた先帝によって、男衆は軒並み流刑されて辺境に送られることになったため、幼い頃から女のフリをさせられ流刑を回避した過去がある。
現在の皇帝は、国を取り囲む黔元と萍郷の不穏な動きを牽制し、先帝が追い払った武家を復活させるための打算で、文家の芮祤と武家の南辰篠へ賜婚を命じたようだ。
この皇帝が若くして賢帝なことに安心感が半端ない。芮祤を伴讀として幼い頃から共に過ごしてきた皇帝は、本人には言わずともその性別の秘密は知っている。南辰篠が男子だということも以前から偶然知っていたため、この賜婚は二人の性別を知るこの皇帝にしか出来ないね笑
夫婦となった当人同士は、互いを同性だと思いながら日々を過ごすことになるが、身体の違いが明らかでどうみても無理がある笑
それでも気付くことなく、芮祤は女性の自分に嫁がされた南辰篠に申し訳ない思いで過ごし、南辰篠は武家の復活を望んで芮家へ留まっている。
開幕から既に、譚曉凡の地味で優し気な顔面と落ち着いた語り口(配音かもしれん)が芮祤の役柄に合いすぎてめちゃくちゃ良いんだけど。
ほどなく出先で萍郷の刺客に遭遇した芮祤を、なりふり構わず救うことになった南辰篠は、どうみても武術に長ける男そのもの。このせいで怪我を負って死を覚悟した南辰篠は、自分が男だということを打ち明けて気を失ってしまった。これが3話。
おとこのひとだった、、、という思いが脳内を巡るなか、行方不明となった南辰篠を心底案じる芮祤が、戻って来た妻?の知らせで雨の中飛び出したその衝動は、既に恋ではないのか笑
その後も、池に落ちた芮祤を抱えて公衆の面前を疾走する南辰篠は、さすが武家出身の女傑!などという理屈で片付けられ、謎に女装はバレていない笑
第4話で、それまで芮祤を男だと思っていた南辰篠にもその正体は知られてしまったが、この後の距離の縮まり方が凄まじく早く、純情な二人の初々しさがたまらん。そのことを互いの正体を知る周りは分かっていないため、勝手にヤキモキしているが、二哥の芮望だけはなぜか動じていなかった。それも後に分かるが、芮望は皇帝の命を受けて以前から二国を探っており、どちらの事情も知る皇帝の補佐を担っていたため、二人の秘密も既に知っていたようだ。
芮祤へ想いを寄せていた燕蘿(公主)とも交流を深め、燕蘿の気持ちも芮望へと寄せられているが、愛読書の作者だと知ればさらに気持ちは加速しそうではある。
黔元や萍郷の骨肉の争いへ巻き込まれそうな国の事情にさほど興味はなく、二人のこの先だけが楽しみなドラマ。芮祤へ心を寄せる藩王だけが既に煩わしいが、芮祤が良すぎてその存在だけでなんだか癒されるわ。
つづく
追記ネタバレ 第9話~第12話。
黔元からの求婚を避けるため、燕蘿を陵安から遠ざける皇帝の命を受けた芮祤と芮望は、商談のために向かう萍郷へ帯同する。燕蘿は何も知らず、これまで通り伸び伸びと駄々を捏ねているが、全く嫌味がなく、むしろ、すぐにイジけては芮望の励ましや戒めで毎度自分の行いを反省するような素直な娘である。
これまで慕っていた芮祤が婚姻を結んだことで、既にこの恋心は手放しているが、道中で南辰篠が男だと分かり、その矢印は謎に彼へと向かう。誰でもいいんか笑
望間山の小説内での恋愛話を現実かのように妄想する燕蘿は、対象の男(文官や武将)を見付けては、それが自分の恋の対象だと思い込んでいる。ただそこに自分の気持ちはおそらくない笑
自分をいつでも励まし見守ってくれる芮望については、小説内にこの様な人間の恋愛描写がないため、今のところは眼中にないみたいだよ笑 落ち込んだ自分を励まして明るい気持ちにさせる芮望の存在に気付くのはいつかな。
繰り返しで、芮望の包容力に支えられる無邪気な燕蘿のやり取りが楽しい。
萍郷では、かつて命を救って無事国へ戻した小王爺が皇帝の座に就いているが、玉座を狙う叔父に国の主導は握られて暴挙三昧である。このせいで萍郷の内政も不安定だが、自国や萍郷の繁栄を目指し、叔父をスルーして進めた芮祤の商談は平和的に結ばれる。幼帝も命を救われた過去があるために、二人には信頼を置いており、この辺りは簡単に事が進んで煩わしさがない。
このドラマは劇中の3CPを見守ることが軸なんだろうから、国々の事情をそう深刻にせず散漫にならないのがいいと思う笑
この一行とは別に、燕霖(皇帝)は母親の長年の病を治癒するため独自で動いているが、その過程で武家の喬又儀と出会う。この出会いで病のための薬草を求めて共に山へ入った燕霖は、喬又儀に命を救われながら過ごす日々で互いに恋しちゃったようだよ。皇帝という身分は隠していたが、先帝の側近だった師父は隠遁している割に勘が鋭く、すぐに気付かれてしまった。
燕霖がいい男すぎて、この山での描写も楽しい。
芮祤と南辰篠の方は、既に夫婦ということもあり結束が固い。
萍郷の叔父が送った刺客から庇い庇われの死闘をくぐり抜け、どの国にも属さない且莫城へと辿り着いた二人はこの地でしばし休養をすることになる。
芮祤が昏睡していた間、描写はなかったものの、将門の力を発揮して賊から城の民衆を救った南辰篠は、且莫城の信頼も獲得していた。若者の統率者である央平などは、陵安へ追従までしてくるが、女装に戻った南辰篠へ意を呈することなくそのまま真顔で受け入れてるのが可笑しい。
この夫婦は、序盤から気持ちが互いに漏れていたため、今となっては既に残されたら生きていけないというところにまで達している。芮祤もさながら南辰篠も愛が深くて素敵だわ。
というわけで、それぞれ3CPの男女共が魅力全開でどれも楽しい。
つづく
追記ネタバレ 第13話~第16話。
お気楽ラブコメかと思いきや、次世代を担う若者たちが中心となって国を改革していくというテーマを持ち、皇帝を始めとする改革派の若者と、昔ながらのコネや賄賂でその座を守るじじい共の対立を割としっかり描いている。そのおかげで、欲深いじじい共が簡単に前途ある若者の命を奪うことに苛立ち、その罪を排除対象へ被せてのうのうと生きる根性に耐えがたい思いをしている笑
藩王には黔元の玉座へ就くという野望があり、丞相と手を組んでいるが、その地位を得たあとに芮祤を手に入れようとしている。そのために丞相の駒となって動き、結果的に芮祤を苦しめているが、独りよがりのその願いが叶うことはないため、あまり気に留めていない。
この悪事の話し合いに、皇帝の婚約者である娘を謎に同席させていたが、え、正気か?そんなことある?娘の倫理観が正常ならば告発される危険性もあり、仮にこの悪事が皇帝の耳に入れば大ダメージどころではない。
個人的には、成敗されるだけの存在を見届けるという意味で、その線を猛烈に期待している。
その間、丞相の悪事の一つである人身売買を調査していた芮望は、南辰篠と協力して証拠を手に入れることにするが、賊を追って行った南辰篠は、勘違いした鳥戎族によって拉致されてしまう。
いつまでも戻らない南辰篠を案じて、芮祤の心労は増すばかりだが、朝廷ではじじいの思惑を牽制するための緊張を保たねばならない。それでも今のところのじじいは一枚上手であり、文武どちらにも忖度せず、誠実に任務へ取り組む柳直を官吏に推薦したことも、丞相の暗躍で泡となつて更に気を落とす結果となる。
まだ決定的な証拠がないために、じじいを糾弾出来ないことがもどかしいなぁ。
鳥戎族に拉致られた南辰篠は、族同士の争いから鳥戎族を救ったことで信頼を得ることになるが、敵族を追って行った先で傷を負い、山中で師父に保護されていた。
以前、何も告げずに山を降りた皇帝は、喬又儀が気掛かりで再び芮祤を連れて戻ってくるが、生死を案じていた南辰篠との再会が思いがけず叶った瞬間は、互いの愛しい想いがその芝居から伝わった。
この、鳥戎族から信頼を無くすことなくその他を離れ、あの山小屋と上手く繋げて再会まで果たした流れは、全く違和感がなく感心したところ。且莫城もしかり、南辰篠が築いた信頼は今後に生きてくるはず。
次は皇帝の弁解のターンとなるが、避けられていることを疑問に思った様子は、黙って山を降りたわけではなさそう。身分の違いを案じて師父が邪魔しているのかも。
どうなるのか楽しみ。
つづく
追記ネタバレ 第17話~第24話(最終話)。
明相と藩王の企みに対し事前に準備していた皇帝以下、芮祤一行は、戦に駆り出されたり拉致られたりしながらも成敗することに成功する。藩王は最後まで気持ち悪かったな笑
この過程で、鳥戎族が面倒くさく南辰篠を拘束するかと思えば、あっさりと友情を築き戦の加勢にまでやってくるし、その戦の規模もこじんまりとしていたが、悪者枠を除く周りの人々に全くストレスがないのがいい。
最後は悪人が排除され、安寧が訪れるというストーリー展開はよくある一般的な流れで、3CPに関しては6人全員が愛すべき人間でどれも楽しく観ていたし、短編の上手い漫画家が描いたようなそれぞれの恋愛の過程も全く違和感がなかった。
謎行動で引っかき回す役柄もおらず、全員の役柄が真っ当でストレスがないことがこの年末の疲労した時期にはちょうど良かったと思う笑

