卿卿日常 New Life Begins 全40話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

 

『卿卿日常 New Life Begins』

2022年 11月~ 中国 全40話

 

出演

尹崢(六少主)→白敬亭

李薇→田曦薇

 

 

ここひと月くらいは現代劇ラッシュだったけど、久々にきたこの古装劇がなんとなく当たりのような気がする笑

優男の白敬亭だからかもしれないが、尹崢の役柄が完璧すぎる。

李薇についても、その侍女を含む周り全ての娘が強く優しい。それもこれも李薇の人柄がそうさせているのだが、この様に全員を魅力的に描く脚本に仕上げているのもまた秀逸。

 

 

ネタバレ 第10話まで。

新川を中心に、それを取り巻く八つの国で均衡を保っている世界。

新川主には子が11人おり(11人目はまだ幼い)、年頃の少主(皇子)らに妻を当てがうため、八つの国から妻候補を募り、気に入った娘を娶れる、又は娶らされるという儀式が存在している。

 

李薇は、霽川からの候補で渋々新川に向かうことになるが、本人としては選ばれずに家に戻れると考えていたのに、霽川からの候補だという理由で、六少主に選ばれてしまう。

妻候補として嫌々新川に来たのに、むしろ選ばれちゃってどーすんのと途方に暮れていたところに、六少主が胃痛持ちで長く生きられないと小耳にはさんだ李薇は、この人が亡くなったら家に帰れる!と、生きている間は六少主に尽くすことにする。

 

結局、尹崢の死亡説は李薇の早とちりであり、加えて彼女の献身もあって胃痛は治ってしまったようである笑

 

李薇は気立てがよく優しい。しかし、若干お転婆なゆえに、たびたび問題を起こして罰を与えられるハメになるが、必ずそれを嗅ぎ付け助けに来る尹崢。
二人で計画した中秋宴の催し物が新川主の歓心を得て、霽川の両親に会いに行けるという褒美(嫁いだら家には戻れないという決まりがある)を貰ったのに、その後、お転婆が禍いしてそれを取り消されてしまう。おまけに、その事を夫である尹崢の責任にされる。※実際は尹崢を慕う宋舞の仕業だったんだけど。

 

暗い部屋で泣いている李薇を怒ることもなく慰めに行く尹崢。ここで第一声がどちらも「對不起」だったのが二人の人柄を表していて実に尊い。視聴者としても、両親に会いに行けない事よりも先に、尹崢を思いやる気持ちが見えたのは嬉しかった。尹崢もまた、両親に会えない李薇を思って出た言葉だったし、この後、ちゃんと両親と会わせるという神業をやってのける。全てにおいて強すぎる男、、、

 

その間、尹岐(五少主)と彼に嫁いだ丹川の上官婧のやり取りもとても素敵である。

丹川は上官婧の姉が国を治める女性上位の国ということもあり、上官婧はべらぼうに強く尹岐はやられっぱなし。

元々おしとやかな娘を嫁にしたかった尹岐は、尹嵩(嫡男)の側室となった郝葭に夢中になっており、その姿を無表情の中にも悲しげに眺める上官婧には何度も胸を抉られる。

おばかな尹岐はそれに気づかず生意気にも離縁を切り出すが、潔い上官婧は、それを了承しさっさと丹川に帰ってしまう。

和平の為の婚姻だったため、勝手に事を起こした尹岐に怒り心頭の父親(新川主)に、「連れ戻さない限りお前もここへは戻れない」などと言われ、尹崢と李薇を連れ立って丹川へ向かう。

 

連れ戻しに行ったのに、なかなか上手くいかない二人に、「私だって愛してもないのに、霽川のために六少主に嫁いだんだよ」などとまさかの本人の前で言っちゃう李薇には、観ているこっちが焦ってしまった笑

李薇も弾みで言ってしまったものの、彼女を既に愛してしまっていた尹崢はそれを聞いて深く傷ついてしまう。かわいそうな尹崢、こんなに素敵な男なのに。


ヤケ酒で酔っ払った尹崢が「嫌いなんて一度も思った事ないよ(好きかは分からないけど)」という言葉を受け「嫌っていないなら、少しでも私を好きな気持ちはあるか」と問う可憐な姿はかわいさ爆発である。ここで唐突にキスをするが、明くる日には覚えておらず、李薇だけが悶々と過ごす事になる。

 

最後は己の力で無事に上官婧を取り戻した尹岐もまた、実に愛らしい男である。

「バカで弱くて何も出来ないけど、まあいい人」と上官婧が言っていたが、その通りなんだけど、愛嬌があって全然憎めない笑

 

何かと忙しい尹崢、今度は借金返済期日の延長を依頼しに三少主と共に金川に出向くことになるが、ここでも尹崢の手腕が光り商談は成功を収める。

この事で金川主に気に入られてしまい、そろそろ朝廷に上がる尹崢にどうやら娘を嫁がせようと企んでいるようである。着いて行った三少主はもはや空気、、、


そんな三少主の妻と侍女達も素敵な娘ばかり。新川兄弟の女達は一体感があり、意地悪な娘が皆無で気の滅入る事が少ない。もはや貶め合いはこの時代流行らないのではないかな。

今のところ、尹嵩の側室として嫁いだ郝葭(相変わらず声が良い)だけが、重い空気の中過ごしているが、一番野心のある娘なのでなんとかやれるのではないかな。

 

じき朝廷に上がる尹崢は、現在側室である李薇を正妻にしてから、彼女の望むように離縁してあげたいと考えていたようだが、色恋沙汰に鈍い李薇にはなかなか気持ちが伝わらない。尹崢の気持ちを知らないから仕方ないと思うんだけど。

この様子を常に傍で見ている蘇槙は一人もどかしい思いをしていたが、鈍すぎる李薇に我慢できず尹崢の想いを代わりに言ってしまうシーンは何度も観てしまうくらい胸熱である。

 

なんだこの一々胸きゅんさせてくるドラマ、、、

 

つづく

 

追記ネタバレ 第11話~第18話

相変わらず、女性陣が熱い。

 

尹崢に告白された李薇、以前は霽川に帰りたくて仕方がなかったのに、次第に尹崢への想いが変化しているのは己でも感じているようである。既に尹崢の側室なのに告白って変な構図だけど笑

霽川のように一夫一妻制ではないところが気掛かりとなっていた李薇だったが、蘇じいや郝葭の後押し、尹崢の「只你一個沒有他人」の言葉に、遂にその想いに応えることにする。

「子供の頃から父親には可愛がられず、母親には愛されず、それでも曲がらずに成長なされた。そしてついに願いを成就された。」といって涙を流す蘇じいの姿は、感動する所だけどなんか笑える。

 

李薇を正室にするつもりでいた尹崢に、危惧していた縁談が持ち上がり、あっという間に金川群主を夫人に迎えることになった回は、束の間の苦しみを味わう。

「束の間」というのも、この元英(金川群主)が予想に反して最強にして最高だったからだ。

尹崢本人には目もくれず、朝廷での尹崢の後押し、尹崢と李薇の教育に精を出す元英の姿は、まるでママと悪ガキ状態。※悪ガキは尹崢と李薇、、、

厳しさと優しさ、そして正しさを持った素敵女の元英は、予想の斜め上をいっていた。

 

朝廷では、己の意見がなかなか聞き入れられず、六少主(尹崢)ばかりが活躍を見せる姿が気に入らない様子の二少主。

尹崢の開府した祝いにも現れず、兄を配慮して他の兄弟達も行くわけにはいくまいと自重するが、そんなことはお構いなしの女性陣。

上官婧がスローモーションで現れた姿はマジ泣いたわ。

 

引き続き朝廷では、古き時代に捉われず、経済圏の拡大を図ろうと夜市を促進したい尹崢が重商(そのまま重商主義の事だと思われる)を提案したのに二少主と老臣たちは猛反対。

その後、夜市への陳情が多数届けられた事で是非が問われるが、それでも継続するという尹崢は、新川主に反旗を翻した罰を受け、開府した屋敷に全員封印されてしまう。まるで兵糧攻めを受けているような屋敷内だったが、ママ(元英)を除く悪ガキ(他)達が、この状況に腐らず明るく過ごす事に精を出している様子は実に微笑ましく、あるはずの悲壮感を感じさせない尹崢ファミリー。

己を律し、肩肘を張って生きてきた元英は、この期間で少し力を抜く事を李薇から学んだようである。

 

いやほんと女性陣が悉く眩しい。序盤に少し意地悪な感じに見えた二少主の夫人(趙芳如)ですら、性根は温かい女である。

 

結果、夜市を上手い事回す方法が成功し、晴れて封印を解かれることになるが、新川主が罰を与えたのも、二少主と老臣たちの不満を解消するため、又、尹崢を守るためであり、決して彼の意見を無視したわけではない。九川を治める主となれば、誰に才覚があるのか既に見抜いているようである。嫡男なのにかわいそうだね、、、二少主。

改革に加えて、女性陣の方も男尊女卑の新川で、女性運動でもし始める雰囲気、、、

 

次々と起こる惨事をどんよりせず、鮮やかな手腕でサクッと解決していく一行。

今度は、嫌がる宋舞へ伝統行事である和平のための婚姻を迫られる事になるが、政のためになぜ女が犠牲にならねばならないのかと納得のいかない李薇は、皆を巻き込みこれを阻止するために策を練る。

宋舞が嫁がなければ、当然他の娘が選ばれる事になるが、いないと思っていた一少主の娘が嫁がされることになる。

一番目、生きてたのか笑 いないかと思ってたよ、、、

 

誰かが犠牲になるこの伝統行事ごと失くす方へ舵を切った一行は、農耕の技術と知識を引き換えに、またしても伝統を断ち切る改革を成功させる。

結果、朝廷に上がってまだ半年の尹崢は異例の出世を遂げ、着々と3人の計画は進んでいる様子である。

 

上官と五少主の関係は、少しずつ良い方向へ向かっていて、「私には皆(主に六少主)みたいに才覚がないし、父も私には何もさせてくれない。私はずっとそんな(何もない)人間なんだよ。」と落ち込んでいる五少主に「それのなにがダメなの?人ってそれだけが生き方じゃないし、ぐだぐだ言う奴がいたら私がとっちめてやるよ。」と清々しく宣言する上官、痺れる。

 

 

序盤に、新川主には11人の子がいると言っていたような気がするけど、1~7少主、11少主以外の子は登場しておらず、8は亡くなったと言っていた気がするので、9,10は、、、調べてないからわからん笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第19話~第26話

なんという優しい世界、、、(フェミニズム全開w)

女性陣が強すぎて、少主らはもはやおまけのような存在に笑

それでも、妻らに引っ張られながら肝心の部分はきちんと掬っていきつつ、背面で支える頼もしい夫陣。

 

三少主は、五、六よりもまだ男尊女卑の風習を捨てれずにおり、妻たちが反乱を起こし屋敷から全員出て行ってしまう。

更に、生活するために店を構え、初の女商人衆として生計を立てることにする。

その事に暫く激おこの三少主であったが、言い負かされっぱなしの彼はどうやらやっと考えが変わったようである。己を愛しすぎて墓穴を掘った彼も、見ようともしなかった妻達の側面に触れ、頼もしいとさえ思っている様子。

女達が道具のように取引されていた時代の中、気付いてみればメインの少主たちは全員尻に敷かれている様が実に可笑しくも微笑ましい。


そして、尹崢はもとより、五少主の活躍がすぎる。ボロボロの傘といい、食事処の十少主との殴り合いといい、医者を無理矢理引っ張り出し鞭打ち20発の刑といい、上官の為にがむしゃらに振舞う姿を見せられると、さすがに愛さずにはいられないのではないか。

 

その中で、未だ二少主に嫁いだ郝葭だけが辛い宮内生活を送っており、なんとか救ってあげたい李薇だったが、二少主のガードが固くなかなか近づけない。

ほどなく身籠ってしまった郝葭は、己の選択を後悔しながらも、二少主の側室として留まる事にするが、二少主の方は専ら己の事と生まれてくる子供は男でならねば、のみに固執し郝葭への扱いが酷い。

傍にいる夫人の趙芳如は、それが不憫でならず度々具申するものの、聞き入れては貰えない。二少主はCP(コールドパーソン)すぎるわ、、、


生まれた子が女子であったため、捨て置かれてしまった郝葭は、辛い日々とその未来に絶望し池に飛び込んでしまう。

ここな、、、こんな優しい世界で誰かが亡くなるなどという脚本は書かれていないだろうとは思いつつ、李薇の駆ける姿に、はやくはやく!と呟いたのは私だけではないはず。この後の李薇の平手打ち、躊躇いなく打ち返す二少主に剣を向けられてからの尹崢登場は熱い。

 

二少主は、今のところ相手もいないのに自ら敵を作り出し、それと戦っているようだが一人相撲がすぎて実に痛々しい。

しかし、誰一人として見捨てないこの脚本の流れから行くと、最後にはきっと己の小ささに気付き、人として大きく成長する姿が観られるのではないか。(私の予想は全然当たりません笑)

そう思いながら観ると胸熱が半端ない。

 

次は偽札事件の始まり。

 

 
追記ネタバレ 第27話~第34話
次から次へと退場する激早展開。
今週は、もうずーーーーっと五少主に泣かされっぱなしで、なんなのマジでこの人、、、
 
二少主にハメられた尹崢→ 尹崢の代わりに己が罪を被り牢獄へ→少主の座を剥奪され庶民に格下げ→庶民になることで上官に辛い生活を強いたくない→悩んだ挙句、別に好きな人がいると嘘をついて離縁を承諾させる→上官が婿を取るという噂を聞き、彼女を取り戻しに丹川へ(二回目)→婿への試験を受ける(二回目)→私たち合わないよと断られる→諦めずに(ほんとえらい(´;ω;`)ウッ…)上官の後をくっついていく→成就。
 
あんたそんなに涙腺を攻撃してくるんじゃないよ、、、
 
この間、二少主の悪巧みも発覚し流刑されるが、嫡男として主にならねばならない重圧から放たれ、肩の荷が降りたのか去り際が清々しい。犯罪者が捕まってほっとしたと感じるそれに似ているように思う。今後登場するとしても、きっと今までとは違う二少主になっているのではないかな。もう登場しないかもだけど笑

二少主の元妻二人も、きっちり仕返しをしてからそれぞれの道へ。

 

そして、みんな大好き元英ママ、、、

尹崢周りの一通りの教育や目標を達成したことで、金川の政に従事するために約束通り離縁を請う。

女というだけで、本来、政には参加することは出来ない時代だが、幼い頃から国事を担う職に就く事を目標としてあらゆる努力をしてきた元英は、父親に反対されても簡単には諦めきれず説得を試みる。というか、父親には逆らえないので周りの助けが大きかったけど。


弟はというと、男という立場に甘んじて、努力もせずぐうたらしているのに、こういう時に限って「おれが嫡男だし!!!」と、権利を主張する姿にひたすらイライラさせられる。

しかし、やってやれない事などない元英は見事に父親を与す事に成功し朝廷へ上がる。ママさすがです。

五少主の活躍のせいで、登場したてより存在感が薄らいでいたように感じるが、視聴者に一番愛されていたキャラだったかもしれない。

李薇と元英の絆が強すぎて、別れの日の尹崢はマジ空気、、、

 

残り6話となるが、二少主にくっついていた四少主が一発なにかやらかす回がありそう。四が一番狡賢い顔してるな。

 
 
追記ネタバレ 第35話~第40話(最終話)

二少主にくっついていた時間が長かったせいで、己がのし上がるには人を貶める事も厭わないという習慣がついてしまっていた四少主。その部分は夫人の方が上回っていた気もするが、早速ロックオンされる尹崢。

このせいで、尹崢は命を落としそうになるが、三少主、新川主夫人、そして民衆に結果助けられる事になる。まさに、「情けは人の為ならず」※人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる。

もちろん、尹崢自身はその見返りを求めて周りに情けを掛けたわけではないが、結局はその善行のおかげと言わざるを得ない。

対照的に、表面のみを繕っている四少主の思惑は尹崢ファミリーのみならず新川主へも悟られてしまう。二少主の所業の後、別の息子がまた尹崢を貶めようとしている事を知り、主もさすがに落胆したようである。

 

息子が11人、そのうち一人は亡くなり、二、五が出てゆき、段々と減っていく中、新川主もやむを得ないと割り切らなければならない事に心労を重ねていた様子。※今考えると李薇の女子会に交じってた青年が九少主だったんだな。

病に伏した新川主を訪ねて五少主が登場した場面は良かった。政は得意でなくても、人として成熟してしまった五少主。

 

女子部の方は、全員(ほんとに全員)が一枚岩状態で揺るがないフェミニズム促進を図るが、行き過ぎでないところが良かったように思う。現代人からみれば普通におかしいと思う部分が多すぎて、改革するテーマを選びやすい。


限りなく優しい世界観だったドラマも遂に終わってしまった。

幼少から両親に大事にされず孤独だった尹崢、おまけに胃痛持ちで病弱だと囃されていた序盤が懐かしいとさえ感じるが、李薇が登場してからは好転の一途であり、李薇が嫁いで来てくれて心底感謝している、、、隣で寄り添ってきた蘇じいの「(これまでの道のりは)本当に簡単ではなかったんですよ」という言葉にその気持ちが見える。思えば私も蘇じい目線で鑑賞していたような気がする笑

 
今の世界情勢を踏まえると、いつまで大陸のドラマが観られるだろうかと考えたりして何となく悩ましい気持ちになる。
実際はドラマみたいにいかないな。